寒暖差が激しい日々が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。どんな天気になっても、暦は秋。秋といえば「読書の秋」! というわけで、現在好評発売中で、今号で無事に1周年を迎えた『紙魚の手帖vol.07 OCTOBER 2022』を紹介いたします。

今号は、毎年恒例の鮎川哲也賞&ミステリーズ!新人賞の選評を掲載しています。今年は、前者は残念ながら正賞は受賞作なしでしたが、後者は受賞作が出ました。真門浩平さん「ルナティック・レトリーバー」は、学生寮を舞台にした事件を描いた本格ミステリです。読み応えのある本作を、どうぞご堪能ください。
また、鮎川哲也賞優秀賞の真紀涼介さん『想いを花に託して』も、刊行に向けて準備中ですので、楽しみにしていただけますと幸いです。

そして、新連載がダブルスタートします! 芦辺拓さん『明治殺人法廷』は明治時代を舞台にした長編ミステリ、加納朋子さん『1(ONE)』は愛犬とある家族をめぐる物語です。鮎川哲也賞受賞作家であるおふたりの、円熟味を増した新作をお楽しみください。

また、特別企画では対談が2本。「新訳版『長い別れ』刊行記念対談! 田口俊樹×杉江松恋」と、「鮎川哲也賞受賞者特別対談 青崎有吾×今村昌弘」をお贈りします。皆さんのミステリ愛にあふれたお話は見逃せません。

他にも、読み切りが充実。秋永真琴さんの微妙な距離感の女性ふたりの関係を描く短編、榊林銘さんの『奇跡の少女』にまつわる怪事件を綴ったミステリ、櫻田智也さんの〈エリ沢泉シリーズ〉最新作、ネイサン・イングランダーの旧ソ連で弾圧された作家が辿る運命を描く短編など、バラエティに富んでいます。

そして最後に、先日小社ホームページでも発表しましたが、『紙魚の手帖』表紙と本文イラストを担当していたイラストレーターのNoribou(のりぼう)さんこと、唐仁原教久(とうじんばら・のりひさ)さんが2022年7月6日に71歳で逝去されました。突然の訃報に、小社内でも悲しみと衝撃は大きかったです。
詳細は今号の「追悼 Noribou(唐仁原教久)氏」に記していますが、Noribouさんからご生前に「事務所に多くの未発表作品を保管しているので、表紙にぜひ使用してほしい」と承っておりました。なので、以降の表紙は、デザイナーのアルビレオさんが遺された複数のイラストを組み合わせ、着色して参ります。素敵な未発表作品を皆様にお届けするよう、尽力いたします。

今後とも本誌を、どうぞよろしくお願いいたします。