●〈オーリエラント〉という世界

『夜の写本師』で写本師の魔法という、本好きにはたまらない魔法世界を生み出し、衝撃のデビューを飾った著者は、以来〈オーリエラント〉の世界を舞台に数々の物語を生み出してきました。それらの作品は舞台になっている国も時代も、そして主人公も様々で、独立した物語として読むこともできますが、〈オーリエラント〉世界の大きな流れのなかでゆるくつながった作品群として読むこともできます。
 刊行順ではなく、年代順に作品を並べ直して読んでいただくことも可能だし、どの作品から入っても面白いのですがが、話があちこちに飛ぶのでついていけないのでは、と不安に思われる皆様のために、Vol.1ではシリーズ各巻の簡単なあらすじと読み方の手引きを、Vol.2ではシリーズ全体を網羅した年表や、舞台となっている国々の地図、魔道の一覧をご紹介します。
 シリーズを読むための手引きとしてご利用ください。


●シリーズ各巻を簡単にご紹介

 以下はシリーズ各巻の内容を簡単にまとめたもの。紹介は発表順(*は単行本、他は文庫)。

『夜の写本師』

夜の写本師 〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ

呪われた大魔道師アンジストに、育ての親と幼なじみの少女を殺されたカリュドウの復讐の物語。


魔道師の月 (創元推理文庫)

闇を持たぬ魔道師レイサンダーと書物の魔道師キアルスは、人々を破滅に導く太古の闇を退けることができるのか?

『太陽の石』

太陽の石 〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ (創元推理文庫)

コンスル帝国衰退期、大地の魔法を操る九人の魔道師きょうだいの壮絶な宿命の物語。


オーリエラントの魔道師たち 〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ (創元推理文庫)

それぞれ異なる魔法を操る魔道師たちを主人公にした四つの短編(「陶工魔道師」「闇を抱く」「黒蓮華」「魔道写本師」)を収録した短編集。


紐結びの魔道師 〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ (創元推理文庫)

紐を結んで幸運を絡めとるかと思えば罠も仕掛ける、紐結びの魔道師リクエンシスを主人公にした連作短編集。(「紐結びの魔道師」「冬の孤島」「形見」「水分け」「子孫」「魔道師の憂鬱」


沈黙の書 〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ (創元推理文庫)

いまだ無垢なる〈風森村〉に風を操る男の子が生を受けた……。天と地のあいだ、オルリアエントの黎明の物語。

『赤銅の魔女』〈紐結びの魔道師三部作〉

赤銅の魔女 紐結びの魔道師1 〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ (創元推理文庫)

隣国イスリル軍の侵攻で館を追われた紐結びの魔道師リクエンシス。いくつもの出会いと運命が交錯する、三部作第一部。

『白銀の巫女』〈紐結びの魔道師三部作〉

白銀の巫女 紐結びの魔道師2 〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ (創元推理文庫)

千五百年前にかけられた魔女の呪いに挑む、リクエンシスと仲間たちの挑戦。三部作第二部。

『青炎の剣士』〈紐結びの魔道師三部作〉

青炎の剣士: 紐結びの魔道師III (創元推理文庫)

リクエンシスは侵略軍を退け、魔女国の呪いを解くことができるのか? 三部作完結。


イスランの白琥珀 〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ (創元推理文庫)

謎のヴェールに包まれていた、東の魔道帝国イスリル中興の祖を描く。


久遠の島 〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ

本を愛する人のみが上陸を許される〈久遠の島〉。そこで生まれた本の守り手たる氏族の兄弟が辿る数奇な運命。


●どの作品から読み始めるか

 ちなみに、長編はちょっと敷居が高いと思われる方には、まず短編集から読まれることをお薦めします。
 短編集『オーリエラントの魔道師たち』にはすべて異なる魔法を使う魔道師たちを主人公にした四編が収録されていますし、『紐結びの魔道師』は紐を結んで魔法をかける紐結びの魔道師を主人公にした短編六編を集めた連作短編集になっています。
 同じ紐結びの魔道師を主人公にした長編三部作『赤銅の魔女』『白銀の巫女』『青炎の剣士』もあるので、連作短編集『紐結びの魔道師』から長編三部作に読み進めるのはどうでしょう。
 本や写本に興味があれば『夜の写本師』から『久遠の島』にいくのも面白いのでは。
 また『魔道師の月』を読んでイスリル帝国に興味を持った方は、次はぜひ『イスランの白琥珀』を読んでいただきたい。
 王道のコンスル帝国の歴史を辿りたい方には『沈黙の書』『魔道師の月』『太陽の石』の順に。
 勿論刊行された順番に読んでいただくのもありです。
 ともかく、どこから読み始めても、どの順番で読んでも面白いのがこの〈オーリエラントの魔道師〉というシリーズの特徴なのです。今回文庫化された『イスランの白琥珀』からでも大丈夫、是非豊饒なるオーリエラントの世界に記念すべき一歩を記してください。

(東京創元社 編集部K)