営業部では2ヶ月に一度、その月の中旬頃に、これまでに刊行された文庫のオビとPOPのデザインを一新して書店さんにお送りする「激押し!」という企画を行っております。
2022年6月の激押しは『臨床探偵と消えた脳病変』(浅ノ宮遼)です。

臨床探偵と消えた脳病変POP

【内容紹介】医科大学の脳外科臨床講義初日、初老の講師は意外な課題を学生に投げかける。患者の脳にあった病変が消えた、その理由を正解できた者には試験で50点を加点するという。正解に辿り着けない学生たちの中でただ一人、西丸豊が真相を導き出す――。第11回ミステリーズ!新人賞受賞作「消えた脳病変」他、臨床医師として活躍する後の西丸を描いた連作集。『片翼の折鶴』改題文庫化。解説=米澤穂信

本作は、現役医師による臨床医目線の医療ミステリです。
5つの症例の謎が収録されており、どの短編も、あまりにも自然に伏線が敷き詰められていて、しっかりと伏線があるのにいつも気づけず見事に騙されます。伏線に気付けるように読んでいたはずなのに……悔しい!面白い!という気持ちを短編ごとに味わえる一冊です。
そして、本作の主人公である西丸豊医師は、探偵役としては珍しく、スッと謎を解決していく、あっさりタイプの探偵です。しかしそこが良いのです。
ぜひ、ご一読ください!

来月には著者最新刊『情無連盟の殺人』の刊行が予定されています。
感情がなくなる奇病「アエルズ」の患者たちの間で起こる殺人事件……。感情がない人々なのだから「殺したい」という感情も生まれないはずなのに、殺人が起きる。何故なのか。あらすじの時点で面白そうな最新刊、今から刊行が楽しみです。

『臨床探偵と消えた脳病変』文庫刊行時の著者による解説はこちら



前回までの「激押し!」記事はこちら








臨床探偵と消えた脳病変 (創元推理文庫)
浅ノ宮 遼
東京創元社
2020-02-19


情無連盟の殺人
眞庵
東京創元社
2022-07-29