インドの山中に建つ呪われた屋敷。
命を狙われた財産家が用意した二通の遺書。
パーティの夜、ついに惨劇が。

英国ミステリの香気漂う犯人当て!


みなさまこんにちは。ラムネとフェレットをこよなく愛する東京創元社Sです。今回ご紹介するのは3月19日刊行の創元推理文庫『英国屋敷の二通の遺書』(R・V・ラーム著、法村里絵訳)です。

まずはあらすじを……。

植民地時代に英国人が建築し、代々の主が非業の死を遂げたと伝えられるグレイブルック荘。元警官のアスレヤは、現主人であるバスカーの招待でこの屋敷を訪れた。財産家の彼は何者かに命を狙われており、数々の事件を解決へ導いたアスレヤの助力を求めたのだ。バスカーは、二通の遺書を用意していた。どちらが効力を持つのかは――彼の死に方によって決まる。一族の者と隣人たちが集まり、遺書が彼らの心をざわつかせるなか、ついに惨劇が! アスレヤは殺人と屋敷をめぐる謎に挑む。インド発、英国犯人当て小説の香気漂う精緻な謎解きミステリ。

舞台はインド南部、濃い霧の漂うニルギリ。世界遺産「インドの山岳鉄道群」を構成しているニルギリ山岳鉄道で有名なところです。その山中の森の中に、イギリス人が建築した植民地様式の屋敷グレイブルック荘はあります。
代々の主が非業の死を遂げたと伝えられる呪われた屋敷、命を狙われた財産家とその一族の者たちと隣人たちが集まるパーティ、そしてその夜に起こった殺人――このあらすじから、古き良き探偵小説の雰囲気を感じとる方は多いと思います。一読していただければまさにそのとおり、本書はインドの作家が手がけた英国ミステリの香気漂う犯人当て(フーダニット)なのです。

本書の重要な要素となるのは、命を狙われたグレイブルック荘の現主人、バスカーが用意した「二通の遺書」。彼は自分の“死に方”が病気などの自然死か、それとも事故や殺人のような不自然死かによって、二通のうちのどちらかが効力を持つ、と決めました。この遺書がパーティに集まった人々の心をざわつかせることは、想像に難くないでしょう。

グレイブルック荘で起こった殺人や、屋敷に集まった人々が抱える謎に挑むのは、元警官のアスレヤ。いかにも紳士という印象の落ち着いた男性で、過去に数々の事件を解決へ導いた実績があり、警察からも厚い信頼を得ています。アスレヤが、鋭い推理力と、ときに強引とも思える行動力とで謎を解きほぐしていく様子を追っていくうちに、驚きの真相へたどり着くことでしょう。

本書のさらなる魅力や、インド生まれの著者がどのような作品に影響を受けて本書を執筆したのかなどという点については、書評家の三橋暁さんが巻末で丁寧に解説してくださっています。ぜひ本文とあわせてお楽しみいただけますと嬉しいです。
装画はイラストレーターの早川洋貴さんが、装丁はデザイナーの藤田知子さんが手がけてくださいました。英国ミステリの雰囲気がありつつ、どことなくインドらしさも感じられる素晴らしいカバーに仕上げていただきました! 

濃い霧につつまれた英国屋敷を舞台にした本書は、日常から離れて謎解きを楽しむのにうってつけのミステリです。ニルギリ渓谷の景色を堪能できる素晴らしい風景描写や、個性豊かな登場人物たちの掛け合いも読みどころ。ぜひ、お気軽に手にとってみてください!

『英国屋敷の二通の遺書』(R・V・ラーム著、法村里絵訳)は3月19日発売です(発売日は地域・書店によって前後する場合がございます)。どうぞよろしくお願いいたします!

(東京創元社S)