北条義時を主人公にした大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が始まって、話題沸騰中の鎌倉。
 1月に刊行した『やおよろず神異録 鎌倉奇聞』は、まさに北条義時や弟の時房、さらに姉の北条政子が登場する時代ファンタジイです。
 各地を巡り薬を売る行商人の若者真人(まひと)は、鎌倉に住む幼なじみの颯(はやて)と共に、年に一度の祭りに顔をだそうと故郷の遠谷を目指していた。
 遠谷(おちだに)は精霊の恵み豊かな土地、そして流れ神がこの世にあらわれる神聖な土地でもある。だが祭りを目前にしたその日、遠谷の村を正体不明の武士の集団が襲った。彼らは村人を殺し村を守護する神の神域を血で穢し、神社に奉納されていた神刀を奪って去っていった。
 それだけではなく、真人が気を失っているあいだに、幼なじみの楓がいなくなってしまったのだ。どうやら武士たちのあとを追っていったらしい。
 真人は楓を救うべく、神刀に引き寄せられてきた流れ神を連れ、武士たちが向かったとおぼしき鎌倉を目指す。
 折しも鎌倉では源頼朝が亡くなり、二代目将軍となった頼家と、母政子の一族北条氏との確執が露わになっていた。
 鎌倉に向かった真人は、あるきっかけで政子の弟時房に助けられ、その屋敷に逗留することになったことから、時房とその兄義時と将軍頼家に仕える御家人高坂景秀の争いに巻き込まれてゆく。
 精霊たちと意思疎通ができる力をもつ真人は消えた幼なじみを見つけ出し、故郷から奪われたご神刀を取りもどすことができるのか?

 各地を放浪する不思議な神“流れ神”、人々の怨みや邪念が集まって生じた邪悪な闇神(くらがみ)、巫女の生気を吸って流れ神を斬ることができる刀……。
 人と精霊と神の関わりを描く華麗な時代ファンタジイ!