あけましておめでとうございます。

恒例となっております、元日の特別企画。2022年に刊行される予定の翻訳ミステリとノンフィクションのラインナップをご案内いたします。本年も東京創元社は引きつづき、読者の皆さまに良質な作品をご紹介することでお役に立ちたいと思っております。ご愛読のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。

(日本語タイトルは一部を除き仮題です)


【強烈プッシュ作】

A Line to Kill
『メインテーマは殺人』の刊行まであと3ヵ月。プロモーションの一環として、探偵ダニエル・ホーソーンとわたし、アンソニー・ホロヴィッツは、無名の新しい文芸フェスに参加するため、チャンネル諸島のオルダニー島を訪れた。どことなく不穏な雰囲気が漂っていたところ、文芸フェスの関係者の死体が発見されて……。年末ミステリランキング完全制覇の『メインテーマは殺人』『その裁きは死』に続く、ホーソーン&ホロヴィッツシリーズ最新刊。真っ向勝負の犯人当てミステリ!


■ホリー・ジャクソン/服部京子訳GoodFGirlBadBlood
Good Girl, Bad Blood
アンディの事件を解決し時の人となってしまった高校生のピップは、24歳の兄ジェイミーの行方を調べて欲しいという友人からの依頼を渋々引き受けた。ジェイミーは失踪する前の2週間ほど気分の落ち込みが激しく、常にスマートフォンで誰かとやりとりしていたようだが、警察は事件性がないと判断した。ピップはFacebookやマッチングアプリなどを探ってジェイミーを捜索すると同時に、広く手がかりを求めるため、調査の進捗をポッドキャストで配信する。しかし単純かと思われた失踪事件は、想像もできない事態へと発展し……。ピップの類まれな推理力と行動力は、とんでもない真相を明らかにする! 年末ミステリランキングで話題沸騰の『自由研究には向かない殺人』続編! この衝撃の結末を、決して読み逃さないでください!!


■エリー・グリフィス/上條ひろみ訳Postscript
The Postscript Murders

ショアハム・バイ・シーの高齢者向け共同住宅に住む90歳のペギーが亡くなった。彼女は推理小説の生き字引のような人物で、数多くのミステリの謝辞にペギーへの感謝が記されている。死因は心臓発作かと思われたが、ペギーの介護士ナタルカはその死に不審なものを感じ、刑事ハービンダーに相談しつつ、友人たち二人と真相を調べ始める。だがナタルカたちがペギーのフラットにいる間に、覆面の人物が銃を手にして入ってきて、ある推理小説を奪って消えた。謎の人物はなぜペギーが一番気に入っていた黄金時代のミステリ作家の本を盗んでいったのか? ――〈週刊文春ミステリーベスト10〉第3位に輝いた『見知らぬ人』の著者が贈る、本や出版業界をテーマにした傑作謎解きミステリ! 


【名匠・俊英たちの最新作】

■ジル・ペイトン・ウォルシュ/猪俣美江子訳Wyndham
The Wyndham Case
静かな2月半ばの朝。ケンブリッジ大学の古色蒼然たる貧乏学寮セント・アガサ・カレッジのナース、イモージェン・クワイのもとに、学寮長が駈け込んできた。キャンパス内の〈ウィンダム図書館〉で、学生の死体が発見されたというのだ。学生は何らかの理由で倒れた拍子にテーブルの角に頭をぶつけたと見られ、頭の周囲に大きな血だまりができていた。遺体のそばには、古書が一冊。これは単なる事故なのか、それとも……? 英国推理作家協会ゴールド・ダガー候補作家にして、ピーター・ウィムジイ卿シリーズの続編を託されたほどの実力派作家による、英国ミステリの傑作!


ピーター・スワンソン/務台夏子訳17307
大学生のハリーは、父親の事故死を知らされる。急ぎ実家に戻ると、傷心の美しい継母アリスが待っていた。刑事によれば、海辺の遊歩道から転落する前、父親は頭を殴られていたという。しかしアリスは事件について話したがらず、ハリーは疑いを抱く。——これは悲劇か、巧妙な殺人か? 過去と現在を行き来する物語は、ある場面で予想をはるかに超えた展開に! 〈このミステリーがすごい!〉2位に輝いた『そしてミランダを殺す』の著者が贈る圧巻のサスペンス。


ジョエル・ディケール(スイス)/橘明美・荷見明子 共訳LeLivredesBaltimore
『ゴールドマン家の悲劇(仮)』※3月刊
処女作『ハリー・クバート事件』で大ベストセラー作家となったマーカス・ゴールドマン彼は少年時代、生家モントクレアのゴールドマン家は質素だったので、弁護士の伯父と医師の伯母夫妻の裕福な家であるボルティモアのゴールドマン家に憧れていた。しかし、晩年の伯父は一人貧しく暮らしていた。それは、ある悲劇が同家を襲ったからだ。あの悲劇を食い止めることはできなかったのか? 伯父の息子で優秀だが体の弱かったいとこと、養子のように一緒に育てられたスポーツマンの同級生、二人はマーカスと仲が良く、三人はトリオで遊び回っていた。そこに難病を抱える同級生と美人の姉も加わり、少年たちの関係は危うい均衡を保つようになったのだった。ベストセラー作家となったマーカスの少年時代、作家デビュー前とそれ以後の時代を行き来し、ゴールドマン家の悲劇と崩壊の謎を解き明かしながら、マーカスの成長を描く、成長小説ミステリ。


■アリス・フィーニー/越智睦訳RockPaper
Rock Paper Scissors
脚本家のアダムと動物保護施設で働くアメリアのライト夫婦は、長いことうまくいっていなかった。そんなふたりに、クリスマスのくじでスコットランド旅行が当たる。アダムとアメリアは分かっている。この旅行が自分たちの結婚を救うか、とどめの一撃になるかのどちらかだと。ただ、この旅行は景品などではなく、仕組まれたものだった。猛吹雪の中、古い教会に取り残されるふたり。仕組んだのはアダムか、それともアメリアか――。『彼と彼女の衝撃の瞬間』のアリス・フィーニーが贈る、とてつもない衝撃が待ち受ける傑作サスペンス!


フェルディナント・フォン・シーラッハ(ドイツ)/酒寄進一訳
『珈琲と煙草(仮)』
ショートショート、自伝、エッセイなど48のパートで構成されている掌編集。著者の人生における大きな出来事や、奇妙な犯罪者のエピソード、『犯罪』『禁忌』など短編作品の関連エピソードが、小説と同じような研ぎ澄まされた筆致で語られる。文学や自作、生と死、美と人生をめぐる類まれな省察にして、現代ドイツを代表する作家が描く「罪」「人」そして「己」。『犯罪』のシーラッハの新境地。


■フィン・ベル(ニュージーランド)/安達眞弓訳
The Easter Make Believers(別題:Good Hot Hate)
イースター目前のある真夜中、ニュージーランド警察に緊急事態を告げる無線が入った。一般家庭に男が立てこもり、夫妻と娘ふたりが人質に。刑事ニックが現場に到着したところ、犯人たちは威嚇射撃を繰り返していた。そして突然、家のなかから音楽が大音量で聞こえてくるのと同時に、爆音が鳴り響いた。機動隊員が強行突破し、夫人と娘たちを救出。だが意外な事実が判明する。警察が踏み込む前に犯人グループは全員射殺されたはずだったが、生き残った男がひとり、夫だけを連れて逃亡したらしい。謎めいた行動を取る男の目的とは――?  『死んだレモン』で話題沸騰の著者による、圧巻のサスペンスと謎解きの妙味!


シャルロッテ・リンク(ドイツ)/浅井晶子訳Betrogene
『裏切り(仮)』
ロンドン警視庁の刑事ケイトが、故郷に帰ったのは、引退した刑事である父が何者かに惨殺されたからだった。30代後半、独身のケイトと、母の病死後一人暮らしだった父との絆は強かった。犯人は彼に逮捕され恨みを抱く最近出所した男なのか? さらに父親について話したいと電話してきた女性も惨殺されてしまう! 父の死には何か秘密があるのか? ケイトと地元の刑事、そしてその同僚の女性刑事、それぞれの捜査は何を見出すのか? 読みだしたらやめられないスリリングな展開、そしてまさに驚愕の結末。『失踪者』で読者の度肝を抜いた稀代の語り手リンクが贈るノンストップ傑作ミステリ。またしても徹夜必至です。


S・J・ローザン/直良和美訳PaperSon
Paper Son
「ミシシッピへ行きなさい。あの白いマントヒヒを連れて」突然の母の言葉に私立探偵のリディアは言葉を失った。パートナーのビルとわたしが、なぜアメリカ南部に? ……それは殺人の容疑をかけられた甥の無実を証明してほしいという、親戚からの依頼だった。ビルを伴い自分たち家族が住んだかもしれない町を訪れたリディアは、そこで渦中の容疑者が脱走したことを知る。知られざる中国系アメリカ人の歴史をひもときつつ、事件の解決に奔走するふたり。〈リディア・チン&ビル・スミス〉シリーズ最新作登場!


【期待の新作登場!】

■マーティー・ウィンゲート/藤井美佐子訳BodiesLibrary
The Bodies in the Library
わたしはイングランドの美しい古都バースにある、初版本協会の新米キュレーター。この協会は資産家だった故レディ・ジョージアナ・ファウリングが設立したものだ。レディ・ファウリングは、アガサ・クリスティをはじめ、ミステリ黄金期の女流作家の初版本の収集家だった。そしてその膨大なコレクションは、彼女の自宅だったミドルバンク館の図書室に保管されている。キュレーターとして認められるため、わたしは協会の知名度を向上させ、会員を増やす企画をあたためている。そんな折、図書室で死体が発見されて……。楽しいコージー・ミステリ第1弾!


■シヴォーン・ダウド/越前敏弥訳LondonEye
The London Eye Mystery
12歳のテッドは、いとこのサリムの希望で大きな観覧車ロンドン・アイに乗りにでかけた。テッドと姉、サリムでチケット購入の列に並んでいたところ、見知らぬ男が自分のチケットを一枚譲ってくれると言う。サリムは大喜びで、たくさんの乗客と一緒に大きな観覧車のカプセルに乗りこんでいった。テッドと姉は観覧車が一周するのを見守っていたが、30分後、カプセルからサリムは降りてこなかった。閉ざされた場所からどうやって、なぜ消えてしまったのか? 知識欲旺盛で大人顔負けの論理を駆使し、「ほかの人とはちがう仕組みでうごく」頭脳を持つ少年テッドが謎に挑む! 『怪物はささやく』原案者で、カーネギー賞受賞作家が贈る清々しい謎解きミステリ。


■エル・コシマノ/辻早苗訳Finaly
Finlay Donovan Is Killing It
フィンレイ・ドノヴァン、31歳、売れないロマンティック・サスペンス作家。ある日、レストランで打ち合わせを終えたところ、テーブルにメモが残されていた。そこにはある男の名前、住所、電話番号、それに現金5万ドルと書かれていた。番号に電話をかけてみると、出た女性から夫の殺人を依頼されてしまう。その女性はなんと、打ち合わせで話していた殺人のプロットや原稿料の金額、そして慌てて家を出た際に、娘のささいな怪我で血が付いたタオルと包丁を突っ込んだバッグを見て、フィンレイを殺し屋と勘違いしたらしい! まさかの事態だが、その後、フィンレイはなんと本物の死体に遭遇してしまい……。予想不可能な展開で一気読み間違いなし! 究極のサスペンス。


■ジャネット・スケスリン・チャールズ/髙山祥子訳ParisLibrary
The Paris Library
1939年、パリ。20歳のオディールは、ヨーロッパ最大の英語書籍貸出図書館であるアメリカ図書館の司書の就職試験を受けて採用された。文学を愛する彼女は仕事にやりがいを感じ、図書館利用者との絆を深めるが、ついにドイツとの戦争が始まった。オディールたちは戦地や病院の兵士に本を送るプロジェクトに取り組み始める。だがドイツ軍がパリ市内に入り、ユダヤ人の利用者に危機が……。1930年代のパリと1980年代のアメリカを舞台に、オディールという女性の波乱万丈の人生と、ナチ占領下のパリの図書館員たちの勇気ある活動を描く感動作!


フランシス・ハーディング/児玉敦子訳1073
『嘘の木』【文庫化】
高名な博物学者による世紀の発見、翼ある人類の化石。それが捏造だという噂が流れ、一家は世間の目を逃れるようにある島に移住する。だが噂は島まで追いかけてきた。そんなか博物学者が死亡、娘のフェイスは父の死因に疑問を抱くが……。謎めいた父の手記。嘘を養分に育ち,食べた者に真実を見せる実のなる不思議な木。フェイスはその木を利用して父の死の真相を暴く決意をする。コスタ賞大賞・児童書部門ダブル受賞の名作、文庫化。【書影は単行本のものです】


■イーライ・ブラウン/三角和代訳Cinnamon
Cinnamon and Gunpowder
海賊団に雇い主を殺害され、しかも海賊船に拉致されてしまった料理人ウェッジウッド。長い赤髪とオリーヴ色のコートがトレードマークの女船長マボットから「命が惜しければ最高の料理を作れ!」と脅され、ウェッジウッドは毎週日曜、マボットだけに極上の料理を作ることに。物資も設備も不足している海賊船で特別料理を作るため、ウェッジウッドはレーズンと小麦とココナッツウォーターからパン種を作ったり、砲弾をすりこぎ代わりに使ったりするなど、知識と経験とひらめきを総動員して工夫を重ねる。まったく異なる世界で過ごしてきたふたりは、徐々にお互いのことを知るようになるが、マボットと因縁があるフランス人科学者率いる敵船に襲われてしまい……。海賊冒険小説×お料理小説!


■クイーム・マクドネル/青木悦子訳ThoseFaces
『平凡すぎて殺される』※2月刊
28歳のポールの特徴は“平凡すぎる”顔だ。病院を慰問し、彼を自分の身内と思いこんだ老人たちを癒す日々を送っている。ある日、末期ガンの老人を見舞うと、錯乱した彼に誰かと間違えられてナイフで刺されてしまう。その患者は悪名高い犯罪者で、ある有名な誘拐事件の関係者だった。警察に衝撃が走る一方、ポールはさらに爆弾で命を狙われた。身を守るには逃げながら誘拐事件の真相を探るしかない! アイルランド発、巧みな構成が光るノンストップ・ミステリ!


■C・A・ラーマー/高橋恭美子訳TheMurderMysteryBookClub
The Murder Mystery Book Club
ミステリマニア、クリスティファンの姉アリシアと妹リネットが主宰する読書会が発足。SNSで会員を募集したところ、集まってきたのは、ハンサムな開業医や謎のありそうな主婦、博物館勤務の男性やクリスティ通の図書館司書などの個性的な面々。だが読書会で肝心の進行役を務めるはずの主婦が一向に来ない。そういえば前回会ったときに何やら不安なことがありそうだったのだが……。ミステリ読書会が舞台のシリーズ第1弾。

■R・V・ラマン(インド)/法村里絵訳
A Will to Kill ※3月刊
霧深い谷に建つグレイブルック荘。命を狙われているという主バスカーの招きで、元警官のアスレヤは邸を訪れた。財産家のバスカーは、自分の死に方によってどちらかが効力を持つとした二通の遺書を用意していた。一族と隣人たち十数人が緊迫感を抱いてすごすなか、遺書が人々の心をざわめかせる――そしてついに敷地内で殺人が! インド発、英国犯人当て小説の香気漂う清新なミステリ!


【人気シリーズ最新刊】

『ビール職人の秘密と推理』※3月刊
冬のイルミネーションイベントを控えた、ビールで有名なアメリカの小さな町レブンワース。ビール職人のわたしは、ブルワリー〈ニトロ〉の新作ビールを醸造しながら、宿泊施設オープンに向けた改装に精を出していた。そんな中、市議会議員選挙の候補者が殺されているのが見つかる。彼は、ビール産業の盛んなこのレブンワースで、こともあろうに禁酒政策を推し進めようとしていた……ということは、容疑者には事欠かないわけで……。おいしいビールと料理が満載のビール・ミステリ!


アレン・エスケンス/務台夏子訳ShadowWe
The Shadows We Hide
大学を卒業しミネアポリスのAP通信に入社したジョーは、ある日、田舎町でジョセフ・タルバートという男の不審死を知らされる。父親を知らずに育った彼は、興味を抱いてその町へ向かう。そこで判明したのは、男が父親である可能性が高いこと、悪行によりさまざまな人の恨みを買っていたことだった。ジョーは真相解明に挑むが……。事件を通して家族の秘密、そして人生と向き合う青年を情感豊かに描いた、心ゆさぶる青春ミステリ。バリー賞など3冠に輝いた『償いの雪が降る』待望の続編!


ピーター・トレメイン/田村美佐子訳WhispersOfDead
『修道女フィデルマの采配』※2月刊
法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマが、アイルランドの各地を巡り難事件を解決する。占星術で自らの死を予言して死んだ修道士、犯人と名指しされたのは修道院長だった。「みずからの殺害を予言した占星術師」。小王国の族長の跡継ぎを選定するための会合で、有力な候補者が死亡、どうやら毒を盛られたらしい。果たして犯人の思惑は?「法定推定相続人」等全5編を収録。待望の日本オリジナル短編集第5弾。


C・J・ボックス/野口百合子訳Endangered
Endangered(猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズ)
猟区管理官ジョー・ピケットの養女エイプリルが、ロデオカウボーイのダラスと駆け落ちした。ダラスはかつて女性への暴行事件を起こした疑いがあり、ジョーは以前から交際に反対していた。そしてある日、頭を殴打され、重傷を負ったエイプリルが発見された。だがダラスは落馬で大怪我をして実家に戻っており、事件とは無関係だと言われてしまう。ジョーはダラスを疑いながらエイプリル暴行犯を探しだそうとするが……。大人気シリーズ第15弾!



ジャナ・デリオン/島村浩子訳GatorBait
Gator Bait(ワニの町へ来たスパイ5)
友人アリーの家の放火事件を見事解決、保安官助手カーターとの初デートも大成功。いい気分のフォーチュンを、過去最大の衝撃が襲う。カーターが何者かに襲われ、命をねらわれたのだ。いつもはなしくずしに暴走の片棒をかつぐフォーチュンだが、今回ばかりは誰の制止も聞き入れない! わけあって人口数百人の町で身分を偽り暮らすCIAスパイ・フォーチュンとその友人兼トラブルメーカーのおばあちゃんコンビが無双の活躍を繰り広げる痛快ミステリ〈ワニ町〉シリーズ第5弾、熱烈な読者の声にこたえて登場!


【非英語圏の俊英たち】

アーナルデュル・インドリダソン(アイスランド)/柳沢由実子訳26607
『厳寒の町』【文庫化】※1月刊
男の子の年齢は十歳前後。地面にうつ伏せになり、体の下の血は凍りはじめていた。アイスランド人の父とタイ人の母の間に生まれた男の子は、両親の離婚後母親と兄と一緒にレイキャヴィクのこの界隈に越してきた。人種差別からくる殺人が疑われ、エーレンデュルら捜査陣は、男の子が住んでいたアパートや通っていた学校を中心に捜査を始める。世界のミステリ界をリードする著者が現代社会の問題にメスを入れた、シリーズ第5弾文庫化。


■アーナルデュル・インドリダソン(アイスランド)/柳沢由実子訳Hardskafi
『凍てつく夜(仮)』
彼女は湖のほとりのサマーハウスで首をつっているのを発見された。数年前に親密だった母親を病で失い、以来精神的に不安定になっていたという。死後の世界に興味をもち、降霊術師のもとにも出入りしていた。自殺で間違いない。だが、本当に? レイキャヴィクの捜査官エーレンデュルは、わずかな疑問を胸に孤独な捜査を進める。暴かれる悲痛な過去、明らかになる驚愕の真実に、心の奥底までゆさぶられる好評シリーズ第6弾。


■オリヴィエ・トリュック(カナダ)/久山葉子訳Detroit
Le Detroit du loup
北極圏に春がやってきた。最北の小さな町は、石油バブルに湧いていた。そんななか夏の草場に向かってトナカイの群れが海を泳いで渡ってきた。若い放牧者が悲劇的な事故死を遂げ、そして地元の有力者が古代の聖なる石の元で死んでいるのが発見される。それが連続殺人事件の始まりだった。北欧三カ国にまたがり活動する特殊警察のコンビ、クレメットとニーナが事件の謎を追う。『影のない四十日間』に続くシリーズ第2弾。



マウリツィオ・デ・ジョバンニ(イタリア)/直良和美訳Gelo
Gelo(P分署捜査班3)
ピッツォファルコーネ署管内の小さなアパートで酸鼻な二重殺人が発生したとの報を受け、ロヤコーノ警部とディ・ナルド巡査長補が急行する。被害者は部屋に住む若い研究者ブラジオとその妹グラツィア。穏やかに、つましく暮らしていた兄妹はなぜ殺されたのか? いっぽう、ドラマかぶれの気取り屋アラゴーナ一等巡査は12歳の少女が受けたセクシャル・ハラスメントという、明らかに不向きな事件を担当することになるが……。ナポリの街で同時進行する事件をP分署の型破りな刑事たちが追う、『集結』『誘拐』に続く〈21世紀の87分署〉シリーズ第三弾!


レイフ・GW・ペーション(スウェーデン)/久山葉子訳DenSanna
『悪い弁護士は死んだ(仮)』上下※3月刊
その日はベックストレーム警部にとって人生最良の日だった。マフィアお抱え弁護士として警察を悩ませてきたエリクソンが死体で発見されたのだ。被害者は自宅で殺されたと思われ、死因は鈍器による殴打、部屋からは被害者が発射した銃弾の跡が発見された。だが奇妙なことに、主人が殺害された四時間後に、飼い犬が殺されていたのだ。エリクソンを恨んでいた人物は多数いるはずだが……。CWAインターナショナル・ダガー最終候補作。



【古典発掘・名作新訳版】

バロネス・オルツィ/圷香織訳
『紅はこべ』
全ヨーロッパを動乱に巻き込んだフランス革命のただなか、共和国政府に捕らえられた貴族を救うため、突如出現した秘密結社〈紅はこべ〉とはなんだろう? シャーロック・ホームズのライヴァル探偵のうちでも異色の存在、隅の老人を創造したオルツィ男爵夫人が、英仏両都を舞台に、江湖の読書子をうならせ、永遠のベストセラーとなった恋と友情と義侠の綾なす絢爛たる歴史ロマン。


『連続自殺事件』【名作ミステリ新訳プロジェクト】※2月刊
空襲が迫る1940年の英国。若き歴史学者のキャンベルは、スコットランドヘ旅立った。遠縁の老人が亡くなり、一族の家族会議に招かれたのだ。途中でとんでもない事態に巻き込まれつつたどり着いたのは、妖気漂う古城。件の老人は、城の塔の最上階から転落死した。彼の部屋は内側から鍵とかんぬきで閉ざされており、窓から侵入することも不可能。だが、老人には絶対に自殺しない理由があった……。不気味な事件に挑む、名探偵フェル博士。巨匠カーならではの逸品が新訳で登場!【『連続殺人事件』改題新訳】


エラリー・クイーン/中村有希訳
『Yの悲劇』【名作ミステリ新訳プロジェクト】
ニューヨーク港に浮かんだ死体は、行方不明が報じられた大富豪ハッター家の当主ヨークのものだった。その後、残された一族のあいだで、恐るべき惨劇が起きる。ハッター家を覆う暗雲の源を突き止めるべく、名優にして名探偵のドルリー・レーンが立ち上がるが……。巨匠クイーンがバーナビー・ロス名義で発表した四部作の中でも一二を争う傑作であり、オールタイムベスト常連の古典名作が21世紀によみがえる!


アガサ・クリスティ/山田順子訳
『ミス・マープル最初の事件』【名作ミステリ新訳プロジェクト】
平和で牧歌的なロンドン近郊の村セント・メアリ・ミードで、思いもよらぬ凶悪な事件が起こった。牧師館を舞台に、地元の名士である治安判事が殺されたのだ。初めは単純に思われた事件の捜査は難航し、疑惑の霧が村中に立ちこめるようになったとき、その鋭い観察眼と明晰な頭脳で事件の真相に迫ったのは、意外にもおしゃべりでせんさく好きな老嬢、ミス・マープルであった。


■戸川安宣編
『世界推理短編傑作集6』
『世界推理短編傑作集』は江戸川乱歩が愛読する珠玉の名作を厳選して全5巻に収録し、19世紀半ばから1950年代までの短編推理小説の歴史的展望を読者に提供してきた。本書は5巻までに取り上げられなかったチャンドラー、ケメルマン、イネスなど名だたる作家の名作を拾遺し、歴史的名アンソロジーの補完を試みたものである。全13作中ガボリオ「バティニョールの老人」、バック「身代金」、シムノン「メグレのパイプ」、アーサー「五十一番目の密室」の4作を新訳で贈る。


【必読ノンフィクション】

■エドワード・ドルニック/杉田七重訳Writing
The Writing of the Gods: The Race to Decode the Rosetta Stone(単行本)
ナポレオンのエジプト遠征の折、1799年に発見されたロゼッタストーン。この石碑には、同じ内容と思われる文章が、二種類の言語で、三種類の文字を使用して刻まれていた。この解読に挑戦したのが、トマス・ヤングとジャン・フランソワ・シャンポリオンという二人の天才。どちらが先にヒエログリフを解読するか? それはイギリスとフランス両国の、国の威信をかけた対決だった! 知的興奮あふれるノンフィクション!


■サイモン・パーキン/野口百合子訳396
1941年、ドイツ軍のUボートによって、アメリカから食料や燃料を運ぶ輸送船が次々と撃沈され、イギリスは敗北の瀬戸際にあった。その窮状を打破するため、英国海軍の退役中佐が呼び戻される。任務は、Uボートの作戦行動の秘密を探り、有効な対抗手段を考案し、それを大西洋を航行する艦長に伝授すること。それを可能にしたのは、"ボードゲーム"と、有能な海軍婦人部隊員の存在だった――。サスペンスフルな傑作ノンフィクション!


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【お年玉プレゼント!】

東京創元社からのお年玉として、福袋セットを抽選で5名様にプレゼントします!

・くらり特製マグネットしおりコンプリートセット(5種類)
・くらり「ふせん」
・くらり特製シール(〈ミステリーズ!〉vol.100付録と同一のもの)

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※セットに「くらり」ぬいぐるみとホームズ衣装は含まれません

応募方法は東京創元社の公式Twitterアカウント(@tokyosogensha)をフォローし、下記のツイート(以下をクリック)をリツイートするだけ!


※応募締切は1月7日(金)昼12時です!
※該当ツイートをリツイートしてくださった方の中から、「5名様」を抽選で選ばせていただきます。
※ご当選者のみに、1月13日(木)昼12時までにTwitterのダイレクトメッセージ機能を使ってご連絡差し上げます。賞品をお送りするため、ご住所とご本名をお伺いいたします。ご了承のほど、お願い申し上げます。

(2022年1月1日)