東京創元社では品切れ中の文庫作品を対象として、毎年"復刊フェア"を開催しています。
ここから紹介するのが、2021年10月上旬よりおこなわれる本年度の復刊フェア作品全10点です。
ご購入の参考にどうぞ。
なお、今回は復刊フェア初の試みとして、作家推薦帯の作品が3点含まれております。

※書店・ネット書店を問わず、実際に購入できるのは10月上旬以降となります。

【10月11日追記】


・書店様によってフェア開催時期が異なります。開催書店リストに掲載されていても店頭に並んでいないことがございます。
・お近くの書店に在庫がない場合は、お取り寄せが可能です。
・銘柄によっては出版社在庫が少なくなり、お取り寄せにお時間がかかることがございます。あらかじめご了承いただきますよう、お願いいたします。

捕虜収容所の死
マイケル・ギルバート/石田善彦訳
『捕虜収容所の死』

第二次世界大戦下、イタリアの第一二七捕虜収容所でもくろまれた大脱走劇。ところが、密かに掘り進められていたトンネル内で、スパイ疑惑の渦中にあった捕虜が落命、紆余曲折をへて、英国陸軍大尉による時ならぬ殺害犯捜しが始まる。新たな密告者の存在までが浮上するなか、果して脱走は成功するのか? 英国ミステリの雄が絶妙の趣向で贈る、スリル横溢の独創的な謎解き小説! 解説=森英俊


マギル卿最後の旅
F・W・クロフツ/橋本福夫訳
『マギル卿最後の旅』
《新カバー!》
新発明の設計図を携えて、息子の元に旅立ったロンドンの富豪、ジョン・マギル卿が北アイルランドで消息を絶った。しばらくして、彼の遺体が息子の家の庭から発見されるが、息子にも他の容疑者たちにもアリバイがあった。失踪直前のマギル卿の不可解な行動、謎の男、アリバイの秘密など、もつれた糸をフレンチ警部は着実に解きほぐしていく。著者の作品の中でも一、二を争う名作。訳者あとがき=橋本福夫


ウサギ料理は殺しの味
ピエール・シニアック/藤田宜永訳
『ウサギ料理は殺しの味』
《米澤穂信推薦!》
「唯一無二。奔放なる奇想が生み出してしまった、ミステリ史に残る大怪作です」米澤穂信
レストランのメニューにウサギ料理が載ると若い女が殺される! 女占い師と彼女にほどこしを受けるホームレス、ウサギ料理が好きな男、金ではなく高級商店の新入荷品で上客を取る娼婦。絡み合う人間関係。ある日、「ウサギ料理をメニューに載せるな」という脅迫状がレストランに届く。この町に何が起きているのか? とてつもないブラック・ユーモアが横溢する仏ミステリの傑作。訳者あとがき=藤田宜永/解説=川出正樹


毒を食らわば
ドロシー・L・セイヤーズ/浅羽莢子訳
『毒を食らわば』
《新カバー!》
裁判官による説示。被告人ハリエット・ヴェインは恋人の態度に激昂、袂を分かった。最後の会見も不調に終わったが、直後、恋人が激しい嘔吐に見舞われ、帰らぬ人となる。医師の見立ては急性胃炎。だが解剖の結果、遺体からは砒素が検出された。被告人は偽名で砒素を購入しており、動機と機会の両面から起訴されるに至る……。ピーター卿が圧倒的な不利を覆さんと立ち上がる第五弾。解説=澤木喬


フォーチュン氏の事件簿
H・C・ベイリー/永井淳訳
『フォーチュン氏の事件簿』

丸顔の、いかにも美食家然とした風貌の蔭に、鋭い直感力を秘めた犯罪捜査部顧問レジー・フォーチュン――クロフツ、クリスティと同年にデビューを飾った巨匠H・C・ベイリーの生み出したこの名探偵は、ホームズ時代の古き良き香りを残しながら、社会に向ける眼差しに新しい時代を感じさせ、来るべき風潮を予知する先取の才能をも秘めていた。「聖なる泉」等、傑作七編を収録する。解説=戸川安宣


フランクを始末するには
アントニー・マン/玉木亨訳
『フランクを始末するには』
《青崎有吾推薦!》
「フツーの話にも、ヘンな話にも、飽きてきたあなたへ。絶妙にひねくれた短編12編。特に「買いもの」は必読!」青崎有吾
フランク・ヒューイットは芸能界の大スター。殺し屋の“わたし”は彼の殺害を依頼され……。二転三転するスター暗殺劇の意外な顛末を描いた英国推理作家協会短篇賞受賞作のほか、刑事の相棒に赤ん坊が採用され一緒に捜査を行う「マイロとおれ」、買いものリストだけで成り立つ異色作、ミステリ出版界の裏事情を語る一篇など多彩な12作。奇想とユーモアあふれる傑作短篇集です。解説=野崎六助


* * *


夜の声
W・H・ホジスン/井辻朱美訳
『夜の声』
《新カバー!》
あのH・P・ラヴクラフトが多大な影響を受けた鬼才ホジスンは、異界への憧憬と恐怖を大海原に求めた。本書には、闇の海から聞こえる奇妙な声が、キノコに覆われたとある島の怪異を語る傑作「夜の声」をはじめ、死の海サルガッソーや海に浮かぶ石の船、さらにはカビに呑みこまれた廃船などにまつわる海洋奇譚全七編に、〈カーナッキ〉シリーズの先駆「水槽の恐怖」を併録した。解説=萩原香


夢の丘
アーサー・マッケン/平井呈一訳
『夢の丘』
《新カバー!》
空にはすさまじい赤光があった。イギリスは片田舎の山奥の、その赤光に燃えたつ古代ローマ人砦に独り遊ぶルシアン・テイラーは、作家になる夢を紡いで暮らしていた。だが、こんな田舎にいて何ができよう。夢に憑かれた彼は故郷をあとにする。牧神が逍遙する山々からサバトの街ロンドンへ……。一人の青年の孤独な魂の遍歴を描く、神秘と象徴に満ちた二十世紀幻想文学の金字塔。解説=紀田順一郎


* * *


大宇宙の少年
ロバート・A・ハインライン/矢野徹・吉川秀実訳
『大宇宙の少年』

宇宙服は小さな宇宙ステーションだ――高校生のキップは懸賞に応募し、一等は逃したが、本物の中古の宇宙服を手に入れた。自力で整備し、着用して散歩しつつ夏休みを過ごす。だがやはり宇宙服を処分して大学に進もうと考えたそのとき……通信装置に着陸誘導を求める女の子の声が入ってきた! 彼は謎の宇宙船に誘拐され大銀河への旅に。50年代の傑作。訳者あとがき=矢野徹/解説=三村美衣(初刊時題名『スターファイター』を改題)


幻詩狩り
川又千秋
『幻詩狩り』
《宮内悠介推薦!》
「一編の詩の魔術に、運命を狂わされていく人々――そこには読者(あなた)も含まれる」宮内悠介
【日本SF大賞受賞】1948年。戦後のパリで、シュルレアリスムの巨星アンドレ・ブルトンが再会を約した、名もない若き天才。彼の剏りだす詩は麻薬にも似て、人間を異界に導く途方もない力をそなえていた……。時を経て、その詩が昭和末期の日本で翻訳される。そして、ひとりまたひとりと、読む者たちは詩に冒されていく。言葉の持つ魔力を描いて読者を翻弄する、川又言語SFの粋。著者あとがき=川又千秋


※書店・ネット書店を問わず、実際に購入できるのは10月上旬以降となります。


(2021年9月21日)