くらり「この頃、暑いせいかジャン=ジャック・ニャン吉が、あまり遊んでくれないニャ。今日も駄目かニャ?」

     *

くらり「ねえねえ、ジャン=ジャック・ニャン吉……また本を読んでるニャ。何を読んでるのかニャ?」

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ジャン=ジャック・ニャン吉「ああ、くらりくん、これ、知らないの? 『ビストロ・パ・マルのレシピ帖』だよ。近藤史恵さんの〈ビストロ・パ・マル〉シリーズがTVドラマ『シェフは名探偵』になって大人気だったでしょ? あのドラマの料理監修者の小川奈々さんが書いたレシピブックなんだ。写真を見るだけでわくわくするよ。実に美味しそうなんだ……。パリのビストロで食べた鴨や、仔羊を思い出して、うっとりしていたんだ……。しばらく海外には行けてないからね」
くらり「いいニャ。くらりも食べたいニャ」
J=J・N「あれ、くらりくんは、このあいだうち、シェフコートなんか着て、すっかりシェフ気取りだったじゃないか。ぼくのために、この中から何か作ってくれないか」
くらり「あ、あ、あれは、ドラマの西島秀俊さんがあんまり素敵だったから、真似してただけニャ。ぼくは作れないにゃ」
J=J・N「なーんだそうだったのか、がっかり。ほら見てごらん、見るだけでもよだれが出るよ」

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J=J・N「みんなツイッターでつくった料理の写真をアップしたりしているね」
くらり「うん、あと、東京創元社の〈Webミステリーズ!〉にも総務部の人が、ものすごく上手に作って写真をアップしていたニャ。あの人のおうちにお邪魔したいと思っていたニャ」
J=J・N「ぼくは友人の編集者に頼んでいくつか作ってもらったんだ。まず、ドラマで金子さんが辞めちゃって、みんながしゅんとしていた時にスーシェフの志村さんが(三舟シェフの西島さんも素敵だったけれど、志村役の神尾佑さんも素敵だったな……)作ったまかないの、フランス風ハヤシライスのミロントン、これ、美味しかったよ。もう3回も作ってもらったんだ」
くらり「3回も?! いいニャァ」

ミロントン
【ミロントン(76ページ)】

J=J・N「鶏肉のフリカッセも美味しかった。ブランデーの香りがきいていたな……。ラタトゥイユがまた絶品だったよ。今までも、時々作ってもらっていたけれど、なんだか違う……。フランスで食べた味と違うよと言っていたんだけれど、今回作ってもらったら、ドンピシャリ、あの味だったんだ」
くらり「いいニャァ。ググーッ」
J=J・N「あれ、猫のくせにゴロゴロじゃなくてググーッ?」
くらり「おなかがすいて鳴ったニャ」
J=J・N「ポワロー・ヴィネグレットは、長ネギでたまに友人が作ってくれていたんだけれど、簡単にフレンチドレッシングで食べてたんだ。このレシピ帖通りにエシャロットを使ったら、いつもの10倍くらい美味しくなったよ。それから、パイナップルがちょうど残っていたので、コンポートを作って、美味しいデセールとしていただきましたよ。残ったシロップは炭酸で割って飲みました。そういえば明日は友人が出かけるようだから、一緒に何か作ろうか……」
くらり「アスパラガスのビスマルク風なら、ぼくもできそうだからやってみるニャ」

ヴィネグレット
【ポワロー・ヴィネグレット(38ページ)】

J=J・N 「あ、嬉しいニュースが……。TVドラマの『シェフは名探偵』が、ギャラクシー賞の7月度月間賞を受賞したそうだ!」
くらり「わあ、すごいニャ」
ふたり「おめでとうございます」

【耳寄りなニュース】
J=J・Nが気に入ったミロントンはドラマだけに出てきたことになっていますが、実はまだ本になっていない短編に出てきます。次の一冊がまとまるまでお待ちください。(編集部)