●最新刊『セーラー衿と瑠璃紺の風』〈大正浪漫 横濱魔女学校3〉
 わたしは花見堂小春、日本で唯一の(多分)魔女養成学校である横濱女子仏語塾の三年生。
 ある日、聴講生の男子・千秋くんが、ティグレを象ったらしき黄金の留め針を持ってきた。千秋くんのお祖父さまの従兄弟にあたるエステバンさまが残した絵の額縁から出てきたんですって。やっぱりエル・ドラドオのものなのかしら?
 由来を探ろうと放課後にみんなで(親友の宮さまと透子さんと千秋くんと一緒に)水晶玉をのぞいてみたら、そこにわたしが見たのはなんと密林にそびえるピラミッドと巨大なティグレの頭像、真っ黒な百合に黄金の青年像だった。
 え? なにこれ? 彫像が動いた? 
 どうやらわたしは水晶玉を覗いたまま気を失ってしまったらしく、気づいたら寮の部屋の寝台の上に寝かされていた。
 いったいあの光景はなんだったのかしら? 学校の授業でさらにもう一度水晶玉をのぞいたとき、事態は大きく動きだした……。わたしの心がどうやら水晶玉の向こうに飛ばされてしまったみたい!

 黄金郷のに隠された秘密とは? 千秋くんの中にいるティグレの正体は? 
 大正時代の横濱(と黄金郷)を舞台に魔女の卵たちが大活躍の三部作、ここに完結!


『月蝕の夜の子守歌』〈大正浪漫 横濱魔女学校2〉
 わたし、花見堂小春と、親友の藤村宮子さん、樹神透子さんは横濱仏語塾の三年生。水晶玉を覗いたり、箒で空を飛ぶ練習をしたり、薬草学を学んだりと毎日学業に忙しい。そう、何を隠そう、横濱仏語塾は歴とした魔女学校、わたしたちは魔女の卵なの。
 これまでは女子ばかりだった授業に、なんと男の子が。聴講生の若槻千秋くんは、ちょっとした事情で私たちと一緒に学ぶことになった。もちろんダンス(箒の飛行術)の授業もよ。ちょっとてこずっているみたいだけど……

 ところで今夜は寮で月蝕の観察会なんだけど、通学生の樹神透子さんがまだ来ていない(ちなみにわたしと宮さんは寮生)。
 せっかくみんなで作った料理が冷めてしまうからと、宮さんと二人で捜しにいったら、山下町にいた透子さん、迷子の女の子を連れていた。その子は一見可愛い女の子なんだけど……。

 折も折、横濱では分限者の子どもを狙った誘拐事件が発生。次に狙われるのは我が校の聴講生で、若槻家の千秋くん? 

 大正期の横濱を舞台にした好評魔女学校シリーズ第二弾。


『シトロン坂を登ったら』〈大正浪漫 横濱魔女学校1〉


 わたし、花見堂小春、横濱仏語塾の三年生。親友の藤村宮子さん(竹久夢二の絵から出てきたような美女よ)や樹神透子さん(見かけはせいぜい十歳だけど、立派に同級生)と楽しく女学校生活を送っている。
 うちの学校は、ちょっと変わっていて、英語、フランス語(創設者で校長先生のマダム・デルジュモンがフランス人なの)なんかの普通の学課の他に、薬草学、水晶玉の透視、占いの授業もある……そう、お察しのとおり、実は魔女学校なの。
 わたしたちはみんな魔女の卵。一人前の魔女を目指して毎日勉学に励んでいるというわけ。なかでも大事なのがダンスの授業。魔女にダンス? と思うかも知れないけど、ダンスというのは仮の名称で、本当は飛行術、つまり箒に乗って空を飛ぶ練習よ。
 実はわたしはダンスがちょっと苦手、ちゃんと訳はあるんだけど、ここでは言わないでおく。
 まあ、とにかくとても楽しい学校生活を送ってるわけ。

 そんなある日、学校のご近所の椰子の木屋敷から、西洋絵画のコレクションを見学にこないかというお誘いが。我が校の美術の先生マダム・ポルティエが、お屋敷の大奥様とお嬢さんに油絵を教えていたことがあるんですって。
 お屋敷はとても立派で、離れの洋館に飾られていた絵画もどれも素敵、珍しい植物を集めたっていう温室も素晴らしかった。
 ただ、温室であった男の子はちょとつんけんしていて、どうかと思うけど。

 折しも横濱では化け豹騒ぎが勃発、なんとうちの下級生が遭遇してしまったの。幸い事なきを得たけれど……。

 時は大正の御代、舞台は横濱の女学校。
 魔女を目指す少女たちの活躍を描く3部作開幕!