昨年の第29回鮎川哲也賞を受賞作『時空旅行者の砂時計』から一年、受賞第二作『孤島の来訪者』をお届けします。すでにTwitterなどでも感想をつぶやいてらっしゃる方もいらっしゃいますが、改めてキーワードを挙げながら魅力をお伝えしていきましょう。


竜泉家の一族
まず主人公の竜泉佑樹は、前作『時空旅行者の砂時計』で登場した一族・竜泉家の末裔です。今作にも名前だけ登場している前作の主人公・加茂冬馬の妻である伶奈の従弟という設定です。
つまり、加茂冬馬が『時空旅行者の砂時計』の事件を無事に解決し、一族の呪いを解いたことによって生まれた世界なんですよね。ということは、竜泉家の呪いのある世界軸では、既に亡くなっているキャラクターとなります(ああややこしい)。

舞台は孤島
今作の舞台となるのは、南海の孤島“幽世島(かくりよじま)”。本文中には鹿児島から船で数時間。45年前の「幽世島の獣」事件という島民のほとんどが亡くなる不可解な事件以降、無人島になっています。南国特有の貴重な動植物がいることから、ときおり調査チームが来島しているようです。今回も、テレビ特番としてロケが行われる予定でした。きっと「世界ふしぎ発見!」のような番組なのでしょうね。

幽世島の奇祭と財宝伝説
幽世島には無人島となったいまでも奇妙な伝説が二つあります。「雷祭(らいさい)」と呼ばれる奇妙な祭が、45年ごとに行われてきました。舞台となった2019年が、その「雷祭」の年なのは偶然なのか必然なのか? そして、奇祭とともに、海賊の財宝伝説もあわせて語られてきたようです。

マイスター・ホラ
『時空旅行者の砂時計』で加茂冬馬をタイムトラベルさせた張本人で、今作は狂言回しとして冒頭と「読者への挑戦」でのみ登場。残念ながら本編中には登場するシーンはありません。

と、ざっとキーワードを挙げてきましたが、どうでしょう? まさに本格ミステリ好きの読者の皆さんに“響く”内容ですよね。ぜひ、この年末年始のお休みに、お楽しみくださいませ。