単行本が文庫化される際、短編が追加されるのはそれほど珍しいことではないと思います。とは言え物事には限度というものがあります。元々四話構成の単行本に新規の四作を加えて全体の構成を変えてしまうというのは、どのくらいあることなんでしょうか。私は寡聞にしてあまり聞いたことがありません。こんなことして果たして大丈夫なんでしょうか。
(文庫版あとがきより)

みなさまこんにちは。SF班(妹)です。
ちょうど2年前の2018年10月、門田充宏さんのデビュー作品集『風牙』(創元日本SF叢書)が刊行されました。
『風牙』は第5回創元SF短編賞受賞作をふくむ4つの中短編が収録された連作短編集で、先日、朗読アプリ〈キクボン〉より朗読版もリリースされました。



“記憶翻訳者(インタープリタ)”として活躍する女性・珊瑚を主人公としたこのシリーズは現在も続いており、19年5月に刊行された続編『追憶の杜』(創元日本SF叢書)のほか、同年12月発売の『Genesis 白昼夢通信』にも番外編「コーラルとロータス」が収録されています。
そして今回、シリーズ1巻目にあたる『風牙』を文庫化するにあたり、ちょっとイレギュラーな“文庫版オリジナル編集”を行うことになり、その結果が冒頭に引用した著者あとがきにつながるわけですが……

つまりどういうこと?? という疑問にお答えすべく、ここで改めて文庫版『記憶翻訳者』の収録作をご紹介いたします!

【2020年10月発売】『記憶翻訳者 いつか光になる』(創元SF文庫)

  • 「風牙」(第5回創元SF短編賞受賞作……『風牙』(創元日本SF叢書)より
  • 「閉鎖回廊」……『風牙』(創元日本SF叢書)より
  • 「いつか光になる」……書下ろし
  • 「嵐の夜に」……書下ろし


【2021年2月発売予定】『記憶翻訳者 みなもとに還る』(創元SF文庫)

  • 「流水に刻む」……書下ろし
  • 「みなもとに還る」……『風牙』(創元日本SF叢書)より
  • 「虚ろの座」……『風牙』(創元日本SF叢書)より
  • 「秋晴れの日に」……書下ろし

文庫版オリジナルの構成にしたことで、単行本版ともまた違った読み味に仕上がりました。単行本版でお読みいただいた方にも、今回初めて興味を持ってくださった方にも楽しんでいただけると思います。

『記憶翻訳者 いつか光になる』は10月23日頃発売です。どうぞご期待ください。

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風牙 (創元日本SF叢書)
門田 充宏
東京創元社
2018-10-31


追憶の杜 風牙 (創元日本SF叢書)
門田 充宏
東京創元社
2019-05-11


Genesis 白昼夢通信 (創元日本SFアンソロジー 2)
水見 稜ほか
東京創元社
2019-12-20