今年の音楽シーンの話題となっているyoasobiの「夜に駆ける」は、星野舞夜さんの「タナトスの誘惑」という短編小説(9月に双葉社から小説集も刊行されるようです)を原作にした楽曲です。同じく、中高生の間でも人気の高い音楽ユニットのヨルシカの最新アルバム『盗作』には、作品モチーフの小説が特典としてついています(こちらは早川書房さんがかかわっているようですね)。音楽と小説の融合が、ちょっとしたブームとなっています。音楽ネタを用いた小説は数多くありますから、今後の流れが気になるところです。

さて、ここからが本題です。猫のアロイシャス・ニャン氏と秘書の丸山氏の活躍するシリーズも『ニャン氏の憂鬱』で三冊目を迎えることができました。今作のテーマの一つがまさに音楽。製缶会社に勤める茶谷くんは、趣味でバンド活動をしている若者。仕事と音楽活動にも悩みながらの日々のある日、「猫缶を開ける音」について聞きたいと訪ねてきたのが、丸山氏とご存じ猫のニャン氏。ツナ缶を開ける音に敏感に反応する猫も多いと聞きます。我が家ではパウチのご飯をあげることが多いので、誕生日など特別な日に猫缶をあげると、とても嬉しそうに寄ってきます。と、話しは逸れましたが、茶谷くんとニャン氏たちは様々な事件の謎に巻き込まれていくのです。

ちなみに、前作の『ニャン氏の童心』刊行後すぐぐらいの頃に、「猫だから」「丸山氏のバラード」と題した手書きの楽譜を松尾さんからいただいたのが第三作のスタートとなりました。この楽譜を三作目の付録としてつけたらどうかと編集部でも盛り上がり、そこから構想いただいたわけです。『ニャン氏の憂鬱』の刊行にあたって、二曲はさらに松尾さんの方でブラッシュアップし、さらに私の子どもの通っているピアノ教室の先生(永井雅子先生ありがとうございました)にチェックしていただきました。ぜひ、『ニャン氏の憂鬱』をお買い求めの上、読者の皆さん、「猫だから」「丸山氏のバラード」の演奏もしてみてください。投稿もお待ちしております。


ニャン氏の事件簿 (創元推理文庫)
松尾 由美
東京創元社
2017-02-20


ニャン氏の童心 (創元推理文庫)
松尾 由美
東京創元社
2018-11-21