長かった梅雨がようやく明けつつあり、夏らしい日差しを感じる今日この頃。夏と言えば…そう、怪奇ですね! 毎年恒例となりつつある、8月刊の『ミステリーズ!』、夏の怪奇・幻想特集号。今回は”怪談”に焦点を当てた、大特集「怪談百化繚乱」をお贈りいたします!


 まず、王谷晶さん「善人の怪談」、北村薫さん「闇と光/東京創元社と和田誠さん」、澤村伊智さん「花が咲いたら」、南條竹則さん「〈奇妙な味〉随想 竹虫」、光原百合さん「絵を描く男」といった、名手による掌編や短編がずらり。どの作品も奇妙な味わいだったり、ぞっとする余韻があったりと、絶妙な怖さを味わえます。
また、気鋭の怪奇幻想ライター・朝宮運河さんによる、「私説現代怪談史」も読み応え抜群。『新・耳・袋』以降の怪談ブームを総括しており、怪奇・幻想作品のブックガイドにもなりますので、ぜひご活用ください。

 新連載は、本格ミステリの雄・芦辺拓さんが登場。大阪・船場の商家を舞台にした、渾身の本格長編をお送りいたします。登場人物たちの生き生きとした船場言葉で彩られた、『大鞠家殺人事件』の鮮やかな開幕を、お見逃しなく。 

 読み切りは、バラエティに富んだ3作品。ひとつめは、『Genesis 白昼夢通信』に短編「白昼夢通信」を発表し作家デビューした、幻想文学の新鋭が本誌初登場。川野芽生さんによる、中編「無垢なる花たちのユートピア」。 ふたつめは、『ネクスト・ギグ』で鮮烈なデビューを飾った鵜林伸也さんの最新作。『ミステリーズ!vol.92』掲載の「黄瀬木通りの奇跡」から続く、ロックバンドを描いたミステリシリーズ「六畳一間のビバリーヒルズ」。みっつめは、西崎憲さんによる、待望の〈蕃東国年代記〉最新作です!死者の国の美しい布をめぐる、美しくも妖しげな「布狩り」
 どの作品も読み応え抜群! じっくりとご覧になってお楽しみください。

 そして、「懸賞付き犯人当て小説企画」ラストの第6弾、白井智之さんによる「尻の青い死体【解答編】」。自主制作映画の主演女優を殺した犯人は誰か? 異才が送る本格ミステリの解決編を、どうぞ味わってください。

 充実した読書体験をお約束する本誌を、どうぞよろしくお願いいたします!