8月上旬刊行の創元SF文庫『ウォーシップ・ガール』は、イギリスSF界の人気作家が贈る、2018年英国SF協会賞長編部門受賞に輝いた傑作スペースオペラです。

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(『ウォーシップ・ガール』カバー色校正紙とくらり)

【あらすじ】
星間紛争中のある重大事件にかかわり、心に傷を負った重巡洋艦のAI〈トラブル・ドッグ〉は、終戦後にみずから軍を辞した。その後艦の武装を下ろして人命救助団体に加わり、新たな艦長サリーらと共にレスキュー活動に勤しんでいた彼女は、あるとき遭難信号を受信する。すべての惑星がオブジェのように彫刻されている謎の星系・ギャラリーで、民間船が何者かに撃墜されたというのだ。急ぎ駆けつけた〈ドッグ〉は、銀河の命運を賭けた戦いに巻きこまれる。はたして14歳のAIは銀河を救えるか?


 本書の読みどころはなんといっても、魅力あふれるキャラクターたちの活躍ぶり。主人公のひとりである巡洋艦〈トラブル・ドッグ〉と、彼女とコンビを組む艦長サリー・コンスタンツ、そして艦に乗り込むことになるスパイのアシュトン・チャイルド、過去に闇を抱えた詩人オナ・スダク――かれらはみなタフだけれども、それぞれに戦争の影を引きずってもいます。とりわけ〈ドッグ〉の健気さ・愛らしさは、応援したくなることまちがいなし。そして、彼らを見守るエンジニアのノッドもいい味を出しています。そんな彼らが銀河の命運を賭けた戦いに挑むスペースオペラ、ぜひお楽しみに。