現在の新型コロナウィルスの影響で、9月入学・新学期の導入が囁かれるようになってきました。そうなるとすべての仕組みが欧米型のスケジュールが組み込まれることも考えられます。もし9月入学・新学期となった場合は、社会的な大きな変化になりそうです。
 ある意味、第二次世界大戦後の学制改革以来の大きな変化になるかもしれません。
 さて今作『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』はそんな変化のあった高校生を主人公に、ストーリーは進んでいきます。現在同様の小学校6年、中学校3年、高等学校3年の「633制」への移行や、男女共学化が図られました(編集担当のわたくしの出身の北関東など一部地域では共学化はされなかったようです。公立高校なのになんでなの!)。戦後しばらくは旧制度と混在していた地域が多かったようですが、作品の舞台である名古屋では昭和24年度からスタートしたようです。

 主人公の風早勝利は、実家が割烹料理店を経営する、推理小説家を目指している少年。この昭和24年の春から新制高校3年生となった17歳。昨年度までは旧制中学の5年生で、大学進学のため1年だけ高校生活を送ることになった。何せこれまでと違って、同じクラスに異性いることに戸惑っている生徒が多いのだから。というのもまさに、著者の辻先生がその世代。
 そんな中、勝利たちは推理小説研究会の活動を行っていた夏休みに事件に巻き込まれる――。勝利は推理小説研究会と映画研究会のメンバー合同で、1泊2日の小旅行に向かった。小旅行先の湯谷温泉で起こった密室殺人、さらにその後のキティ台風が到来する晩に起きた解体殺人。青春ミステリの肝である、学園祭を挟んで、二つの事件に勝利が迫ります。事件そのものにはあまり関わりませんが、『深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説』で名探偵役を務めた、那珂一兵も勝利に重要なアドバイスを与えるために登場しています。
 はじめての男女共学、謎の美少女転校生、夏休みと、青春ミステリの要素がこれでもかと揃った傑作に仕上がっています。どうぞお楽しみに!

深夜の博覧会
辻 真先
東京創元社
2018-08-22