娘が1歳11ヶ月のとき、理想の家族環境を求めて東京からスウェーデンへ家族3人で移住した翻訳家の久山葉子さん。

無理なく共働きで子育てできるとされる国での移住・子育て・日常生活を綴った、楽しく気軽に読めるエッセイ『スウェーデンの保育園に待機児童はいない――移住して分かった子育てに優しい社会の暮らし』が好評発売中です。

スウェーデンの保育園に待機児童はいない (移住して分かった子育てに優しい社会の暮らし)


今回はその『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』から、久山さんが特に皆さんにお伝えしたい部分を抜粋して、5日連続で特別公開します。

前回に引き続き子育て東京からスウェーデンに移住した楽になったこと、そしてスウェーデンの夕食事情についてです。保育園のクラスメートはほとんど夕食は午後5時! どうしたらそんなことが可能に――?

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 スウェーデンに来て精神的に楽になったと思うのが、夫婦とも職場に対して「子育て中で申し訳ない」と思うことがなくなったことだ。日本にいたころは、育児休業をとったり子供の病気で急に休んだり短時間勤務したりするのは基本的に母親であり、子供のいる女性は残業もできないし急に休むしで、会社から男性社員と同等の信頼を得ていないのは明白だった。休む側としても、そう思われても仕方がないという心境で、申し訳なく肩身が狭かった。しかしスウェーデンでは男女とも育児休業をとるし、子供が病気になったら休むので、単純に計算すれば職場の〝育児中の仲間〟の数が倍に増える。
 おまけに、職場には3、40代の同僚のほとんどにパートナーと子供がいる。大都市に行けば事情は異なるのかもしれないが、地方都市であるこの街は子供がいる家庭が標準のような状態だ。夫の職場で子供がいない人はひとりだけだし、のちにわたしが移住して2年目から日本語を教えることになった高校でも独身の先生は3人いるだけだ。つまり同僚はほとんど育児中、もしくは育児経験者の仲間である。まだ独身の同僚も、いつか子供を持つつもりだという可能性が高い。
 つまり育児は遅かれ早かれほぼ全員が経験することであり、育児休業をとったり子供が病気で急に休んだりするのはお互い様で、肩身が狭いなんてことはない。なにしろこちらのほうが大多数なのだから。
 本当の〝働きやすさ〟というのは、こういう精神的な余裕のなすところが多いと思う。社会制度として〝育児休業とれます〟〝子供が病気なら休めます〟となっていても、肩身が狭ければ、本当の意味で働きやすいということにはならないのだ。


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