あけましておめでとうございます。

恒例となっております、元日の特別企画。2020年に刊行される予定の翻訳ミステリとノンフィクションのラインナップをご案内いたします。創元推理文庫創刊60周年が終わっても東京創元社はますます意気盛ん! 引きつづき、読者の皆さまに良い作品をご紹介していきます。本年もご愛読のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。
今年は特別に「お年玉プレゼント」企画もご用意しましたので、ぜひ最後までお読みください。

(日本語タイトルは一部を除き仮題です)



【名作ミステリ新訳プロジェクト】

創刊60周年記念企画として始まりました「名作ミステリ新訳プロジェクト」を、大好評につき2020年も継続いたします。


ミス・マープルと13の謎
2月はリスタート記念として、プロジェクト初の2点刊行となります。

2月 ドロシー・L・セイヤーズ/猪俣美江子訳『大忙しの蜜月旅行』
2月 マーガレット・ミラー/宮脇裕子訳『鉄の門』
3月 チャンドラー、アリンガム他/小森収編『短編ミステリの二百年2』
4月 アガサ・クリスティ/山田順子訳『ミスター・クィンの事件簿』

 (以下続刊)

5月以降の刊行作品も順次お知らせいたしますので、どうぞお楽しみに!



【強烈プッシュ作】

The Sentence Is Death
電話越しに謎めいた言葉を残し、成功した離婚弁護士は殺された。凶器となったのは、なぜか飲んだ形跡のない、高価なワインのボトル。奇妙なことに、壁にはペンキで〈182〉という文字が描きのこされていた……。この不可解な事件に挑むのは、元刑事の探偵ダニエル・ホーソーン。その助手を務めるのは、わたし、アンソニー・ホロヴィッツ。年末ミステリランキングを完全制覇した『メインテーマは殺人』に続くシリーズ第2弾!


■ララ・プレスコット/吉澤康子訳TheSecretWeKept
The Secrets We Kept(単行本)
冷戦下のアメリカ。ロシア移民の娘イリーナは、CIAのソ連部に新しいタイピストとして雇われる。彼女は才能を見込まれた諜報員候補だった。訓練後、彼女は特殊作戦「イーダイナソー」に抜擢される。その目的は、ソ連で禁書となった小説『ドクトル・ジバゴ』をソ連国内に流通させること。この作品は反体制的との理由により出版禁止とされていたが、原稿がひそかに諸外国で翻訳され、ついには著者がノーベル文学賞に決定した。「一冊の本が世界を変える」ことを証明しようとした気高き女性諜報員たちを描く感涙必至の超大作!


■イアン・ピアース/池央耿・東江一紀・宮脇孝雄・日暮雅通 訳AnInstanceoftheFingerpost
『指差す標識』
1660年代のオックスフォード、クロムウェルが他界し、チャールズ二世が復位した時代。オックスフォード大学の学寮教師ロバート・グローヴを毒殺したとして、一人の女性が処刑された。物語は四部構成になっており、それぞれの部で異なる四名の人物――イタリア人の医者の卵、父親が裏切り者として処刑された青年、オックスフォード大学教授、古文書学者――の視点から、この事件を描いていく……。傑作歴史ミステリを、当代最高の四名の翻訳家が手がける今年度最高の話題作!



【名匠たちの最新作】

ヘニング・マンケル(スウェーデン)/柳沢由実子訳DenOroligeMannen
『苦悩する男』
ヴァランダーと同じイースタ署の刑事になった娘リンダに赤ん坊が生まれた。ヴァランダーはリンダのパートナーの両親に会うことに。父親ホーカンは元海軍司令で、夫婦ともに話のわかる人たちだった。だが、数ヶ月後、ホーカンは失踪してしまう。ホーカンが海軍司令官時代の秘密を抱えていたのだろうか? 更にホーカンの妻も忽然と姿を消す。自らに忍び寄る老いの足音と戦いながら、ヴァランダーは娘のために事件を追う。人気シリーズの掉尾を飾る傑作。



ジョエル・ディケール(フランス)/橘明美訳LeLivredesBaltimore
『ゴールドマン家の悲劇』
処女作『ハリー・クバート事件』で大ベストセラー作家となったマーカス・ゴールドマン。彼は少年時代、生家モントクレアのゴールドマン家は質素だったので、弁護士の伯父と医師の伯母夫妻の裕福な家であるボルティモアのゴールドマン家に憧れていた。しかし、晩年の伯父は一人貧しく暮らしていた。それは、ある悲劇が同家を襲ったからだ。あの悲劇を食い止めることはできなかったのか? 伯父の息子で優秀だが体の弱かったいとこと、養子として引き取られた孤児でスポーツマンの同級生、二人はマーカスと仲が良く、三人はトリオで遊び回っていた。そこに難病を抱える同級生と美人の姉も加わり、少年たちの関係は危うい均衡を保つようになったのだった。ベストセラー作家となったマーカスの少年時代、作家デビュー前とそれ以後の時代を行き来し、ゴールドマン家の悲劇と崩壊の謎を解き明かしながら、マーカスの成長を描く、成長小説ミステリ。


『カメレオンの影』
アクランド英国軍中尉はイラクに派遣され、爆弾で顔に重傷を負ってしまう。入院してからの彼は、なぜか女性の看護師を遠ざけ、元婚約者にも会おうとしない。除隊してからはロンドンのフラットに引きこもっていた。ある日、同じ地区に住む老人が襲われる事件が起きる。その地区ではすでに3人、独り暮らしの男性が自宅で殴殺されるという連続殺人が起きていた。被害者の証言でアクランドは最有力容疑者とされてしまい……。〈現代英国ミステリの女王〉ウォルターズが放つ最新傑作!



■C・J・ボックス/野口百合子訳BreakingPoint
Breaking Point
ワイオミング州サドルストリングの猟区管理官をつとめるジョー・ピケット。彼の知人であるブッチが家を建てようとしていた山麓の分譲地から、土に埋められた二人の男の射殺体と、谷に落とされた無人の車が発見される。姿を消したブッチを追うため、山狩りと捕縛計画が進められる。スリリング満点の山中の追跡劇の行方は。全米ベストセラー作家の冒険サスペンス! 大人気〈ジョー・ピケット〉シリーズ13弾、創元推理文庫から登場!



【期待の新作登場!】

アレン・エスケンス/務台夏子訳TheHeavensMayFall
The Heavens May Fall
刑事弁護士ベンの妻が殺害され、捜査主任の刑事マックスは、ベンに疑いをかける。弁護士ボーディが長年共に働いたベンの潔白を信じて弁護を引き受けるが、それは命の恩人であり親友でもあるマックスと敵対することを意味していた。捜査の結果ベンが逮捕され、法廷で検察側の証人であるマックスと弁護人ボーディの熾烈な攻防が繰り広げられる。陪審員裁判を制するのはどちらかなのか。『償いの雪が降る』の著者が贈る究極の法廷ミステリ!


■モーリーン・ジョンソン/谷泰子訳TrulyDevious
Truly Devious
エリンガム・アカデミー、そこは天才を輩出してきた全寮制の学校。願書も入学試験もなし、志願者にきらめきが見えたら入学が許されるのだ。新入生のスティヴィは推理マニア、百年前に起きたアカデミーの創始者の大富豪エリンガムの妻と娘が誘拐された事件を調べている。身代金は支払われたものの妻は殺され、娘は行方不明のまま、犯人も捕まっていない。入学時の課題としてスティヴィは事件を調べ直すが、また新たな殺人が……。NYタイムズベストセラー作家が書いた本格ミステリ。


■フィン・ベル/安達眞弓訳DeadLemons
Dead Lemons
交通事故で車椅子生活となったフィンは、心機一転、ニュージーランド南島に移り住む。暇を持て余した彼は、町で約30年前に起きた少女失踪事件に興味を持つ。フィンの隣のゾイル家の農場から彼女の恥骨が発見されていたが、証拠不十分で未解決だった。現在ゾイル家に住むのは、とてつもなく不気味な三兄弟。フィンは真相解明に乗り出すが……。電子書籍自費出版から人気を博し、ナイオ・マーシュ賞ほか4賞を受賞した話題作家のデビュー作!



■シャネル・ベンズ/高山真由美訳TheManWhoShotOutMyEyeIsDead
『おれの眼を撃った男は死んだ』(単行本)
南北戦争で両親を亡くした少女は兄の手で自分を虐待するおじ一家から助け出されたが、さらに残酷な外の世界の真実を知る。ある少年は、刑務所にいる父親と暴力をふるう義父の間でもがいている。外交官の娘は難民キャンプで反政府軍の襲撃を受け、傭兵にさらわれて消えた。――暴力と欲望に満ちたさまざまな時代と場所で、夢も希望もなく血まみれで生きる人々の一瞬の美しさを切り取る。全作傑作、衝撃の短編集。2014年オー・ヘンリー賞受賞作収録。



【人気シリーズ最新刊】

『ビール職人の手料理と推理』
ビールで知られる小さな町レブンワース。ドイツのバイエルン地方に似た風景のこの町に、今年もオクトーバーフェストの開催が迫っていた。ビール職人のスローンは、ブルワリー〈ニトロ〉で新作ビールの開発に精を出している。そんな中、クラフトビールをテーマにしたドキュメンタリー映画がこの町で撮影されることに。だが、イベント前日の夜、映画の関係者が殺されているのが見つかり……。『ビール職人の醸造と推理』に続く、愉快でおいしいビール・ミステリ第2弾!


【非英語圏の俊英たち】

■アントニオ・マンジーニ(イタリア)/天野泰明訳PistaNera
『汚れた雪』※2月刊!
ローマでの不祥事がもとでアルプス山麓の町に飛ばされてきた、副警察長ロッコ・スキャヴォーネは、愛妻家ではあるが、荒っぽく、悪に手を染めることもいとわない。村じゅうが親戚関係にあるといってもいい狭い村で、圧雪車にひかれた男の遺体が発見された! 彼の妻は妊娠中だというのに。これは事故ではない。強烈な魅力を放つロッコの捜査が始まる。本国イタリアではTVドラマ化され、シリーズ累計130万部超の人気作が日本上陸!



■マウリツィオ・デ・ジョバンニ(イタリア)/直良和美訳IBastardidiPizzofalcone
『スノードーム P分署捜査班』
ナポリ最低最悪の地区にあるピッツォファルコーネ分署で汚職により捜査班に大量の欠員が発生する。そこで各地の分署から送りこまれたのは、才能はあるが持てあまされた者たち……マフィアの内通者と噂されるロヤコーノ警部、暴力衝動を抱えた男性刑事、署内で発砲事件を起こした女性刑事、スピード狂の巡査など。急造チームは早速、スノードーム収集家の女性殺しをはじめ、管内で同時多発的に起きたいくつもの事件に直面する! イタリア発の警察小説、21世紀の87分署シリーズ登場!



ローラン・ビネ(フランス)/高橋啓訳LaSeptiemeFonctionduLangage
『言語の第七番目の機能――ロラン・バルトを殺したのは誰か?』(単行本)
哲学者で記号論学者、ロラン・バルトの事故死はミッテランとの昼食を終えてすぐのことだった(翌年ミッテランはジスカール・デスタンを破り第21代仏大統領となった)。これは臭い……。捜査を開始したバイヤール警部。事件の鍵は「言語の第七番目の機能」という謎の論文。秘密結社の存在、フーコー、ソレルス、クリステヴァ、ドゥールーズ、アルチュセール、デリダ、エーコ……知識人や政治家たちが乱舞し、記号論的(?)超ドタバタ・ミステリにして、言葉の力について考えさせる驚くべき一冊。アンテラリエ賞、Fnac小説大賞受賞。



【古典発掘・名作新訳版】

ドロシー・L・セイヤーズ/猪俣美江子訳BusmansHoneymoon
『大忙しの蜜月旅行』【名作ミステリ新訳プロジェクト】※2月刊!
とうとう結婚へと至ったピーター卿と探偵小説作家のハリエット。従僕のバンターと三人で向かった蜜月旅行先は、〈トールボーイズ〉という古い農家。ハリエットが近くで子供時代を過ごしたこの農家を買い取り、ハネムーンをすごすのだ。しかし、いざ着いてみると、屋敷は真っ暗で鍵がかかっており、待っているはずの前の所有者は見当たらず……。巨匠セイヤーズによる、シリーズ最後の長編が新訳でついに登場。後日談の短編も収録!


マーガレット・ミラー/宮脇裕子訳
『鉄の門』【名作ミステリ新訳プロジェクト】※2月刊!
十六年前に死亡した親友ミルドレッドの夫である医師アンドルー・モローと再婚したルシール。一見平穏なその生活の裏側で、アンドルーを溺愛する義妹や自分から距離を置く継子たちとの関係にルシールは息苦しさを感じていた。そしてある日、奇妙な男がモロー家を訪れ、ルシールに小箱を渡して立ち去った。その後彼女は何も言い残さずに失踪を遂げる。心理ミステリの巧手ミラーの初期を代表する傑作が待望の新訳にて復活。



■チャンドラー、アリンガム他/小森収編/猪俣美江子他訳29902
『短編ミステリの二百年2』【名作ミステリ新訳プロジェクト】
江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集』とは異なる観点から、実作と評論の両面で短編ミステリの歴史をさぐっていく、刺激的で意欲に満ちたアンソロジーの第2巻。本書には深町眞理子訳によるチャンドラー「待っている」のほか、ハメット、スタウト、アリンガム、クリスピンなど、1920年代から50年代にかけて書かれた11編をすべて新訳で収録。巻末には第1巻に続き、編者・小森収の評論を掲載した。



【必読ノンフィクション】

■シェーン・バウアー/満園真木訳AmericanPrison
『アメリカン・プリズン――民営刑務所潜入記』(単行本)
アメリカの刑務所の問題に関心を持ち、国内最大の民営刑務所運営会社の運営するルイジアナ州のウィン矯正センターの面接を受けて採用され、刑務官として働きはじめた著者。時給はウォルマートのアルバイトと同等の9ドル。そこで彼は刑務所を営利企業が運営することの現実――囚人が外部の医療機関にかかった場合の費用は刑務所持ちのため、医療費は極端に削られるなど――を目撃することに。衝撃のノンフィクション!



■サイモン・パーキン/野口百合子訳AGameofBirdsandWolves
『小鳥と狼のゲーム 第二次世界大戦を勝利に導いたボードゲームと女性たち』(単行本)
1942年、イギリス軍は大西洋でドイツ軍のUボートに苦しめられていた。デーニッツ提督率いるUボート戦隊は、英国船団の護衛ラインの内側に侵入し、魚雷攻撃を仕掛けてきていたのだ。なぜUボートに負け続けるのか? その謎を解明するため〈ラズベリー〉作戦が立案され、海軍婦人部隊がその任に当たった。17歳から21歳ほどの女性たちは、ボードゲームを用いて、Uボートがどのような作戦をとっているのかを解明していく――。映画化決定の傑作ノンフィクション!



■コリン・ブッチャー/杉田七重訳MollyandMe
『モリー、100匹の猫を見つけた保護犬』(単行本)※2月刊!
元警部補コリンがペット事件専門の探偵事務所をたちあげたのは2005年。以来仕事の需要は年々増加していたが、悩ましいのは失踪した猫の捜索だった。そこでコリンは猫を専門に探す優秀な探偵犬を自らの手で育てようと決心した。だが、候補犬探しは難航を極めていた。半ばあきらめかけていたところに出会ったのが保護犬で、問題行動だらけのモリーだった。だが、コリンはモリーの類まれなる才能を見抜いていた。現在も英国で活躍中のペット探偵が語る感動のノンフィクション。



...and more


【お年玉プレゼント!】

東京創元社からのお年玉として、公式キャラクター「くらり」のオリジナルグッズをご用意しました。以下のものをまとめたセットを、抽選で5名様にプレゼントします!
・くらりステッカー
・くらり付箋
・くらりアクリルキーホルダー(顔バージョン)
・創元推理文庫創刊60周年フェア特製しおりコンプリートセット(全5種類)


present2020


※セットに「くらり」ぬいぐるみは含まれません


応募方法は東京創元社の公式Twitterアカウント(@tokyosogensha)をフォローし、下記のツイート(以下をクリック)をリツイートするだけ!


※応募締切は1月7日(火)昼12時です!
※該当ツイートをリツイートしてくださった方の中から、「5名様」を抽選で選ばせていただきます。
※ご当選者のみに、1月10日(金)昼12時までにTwitterのダイレクトメッセージ機能を使ってご連絡差し上げます。賞品をお送りするため、ご住所とご本名をお伺いいたします。ご了承のほど、お願い申し上げます。

(2020年1月1日)