囲碁と言うのは、361路の碁盤の上で繰り広げるゲームである。碁盤の目を多く囲ったものが勝者となる。目の無い石は死んでいるというルールと囲い合うということが初心者にはわかりづらいが。またどちらが優勢か見ながら、局面を有利に導いていく発想とテクニックを競うゲームでもある。いかに囲っていくか、いかに相手の石を追い詰めていくか、その攻防こそ囲碁の醍醐味である。

 囲碁は、進捗の具合から序盤(布石)、中盤(戦い或いは囲い合い)、終盤(ヨセ)に分けられる。序盤は、たいてい隅から打っていく。定石も序盤に表れる。定石とは隅の折衝で互角の別れを目指したものだが、内を取るか外を取るかで評価が分かれる。中盤は、攻めるのか守るのかの選択が付きまとう。終盤には先手後手が重要なテーマになる。一局を通じて、詰碁や手筋には注意が必要になる。

 囲碁を打っていると、一手で逆転されることがある。手筋にはまるとか、切断されて目のない石にされるとかはよくあることである。碁を覚えたての頃、上級者に何度も石を殺された。夢にも出てきたくらいだ。切断とか囲まれることに敏感になれば、勝率は上がってくる。ただそこに留まっていては、強くなれない。囲碁の面白さを味わうこともない。一手一手には意味があることを知り、相手の一手の意味を探り、様々なパターンに対応できるようになれば、飛躍的に面白くなる。そのためには多くの抽斗を持つべきだ。
 
 さて本書は、布石の解説書である。よく出てくる布石での変化を解説した。読めば、一手の違いがどれだけ局面を左右するのかが分かると思う。高段者にとって、最低限知っておかなければならない知識である。強くなるために研究は進んでいる。良い手というものも変わってきている。特にアルファ碁の登場以降、一手の評価は益々変わってきた。とはいえ本書の知識だけでも囲碁への理解は深まるし、そして強くなることは間違いない。