故郷を失った地球人類は、多彩な異星種族が共存する銀河共同体への加盟を許され、弱小ながら繁栄を享受していた。宇宙船〈ウェイフェアラー〉は、超光速航行用のワームホール、通称“トンネル”建設を専門とする小さな作業船。この船に突然、「銀河系中心部への新航路開拓」という大仕事が舞い込んだ。かくして未知の種族トレミが支配する銀河核をめざし、個性的すぎる8人+1体の異種族混成クルーたちの長く賑やかな航海が始まる……。

 ベッキー・チェンバーズ『銀河核へ』は、前向きでひたむきで超個性的なクルーたちが活躍する傑作スペースオペラ。「宇宙船サジタリウス」「YAT安心! 宇宙旅行」から「カウボーイ・ビバップ」「スペース☆ダンディ」といった宇宙もののSFアニメが好きな人には、特にお楽しみいただけるのではないかと思います。

 ちなみに本作、もともとはキックスターターによるクラウドファンディングで個人出版したものが、大人気となって大手出版社から商業出版し直され、クラーク賞、ベイリーズ賞、英国幻想文学大賞などの候補になった……というユニークな履歴の持ち主。こうした人気を受けて続編が書き継がれ、今年(2019年)は第3作がヒューゴー賞長編部門候補となると同時に、シリーズ部門にノミネートされています(結果発表は8月)。

 なお下記の画像は、原書カバーのUSバージョン(左)とUKバージョン(右)。一見「雰囲気ちがいすぎでは?」と思うかもしれませんが、読んでみるとどっちも「なるほど!」となることは確実です。
 6月下旬の刊行、ぜひお楽しみに!

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