創元推理文庫創刊60周年記念〈名作ミステリ新訳プロジェクト〉
第4弾はエラリー・クイーンの大傑作『Xの悲劇』!



 
創元推理文庫の創刊60周年を記念した〈名作ミステリ新訳プロジェクト〉、4月発売の第4弾刊行作品はエラリー・クイーン『Xの悲劇』です。

作者と同名のミステリ作家エラリー・クイーンが探偵役となる〈国名シリーズ〉『ローマ帽子の謎』(1929)を皮切りに順次新訳化されていますが、今回はクイーンが創造したもうひとりの名探偵、シェイクスピア俳優のドルリー・レーンが登場する〈レーン四部作〉より、第一作『Xの悲劇』(1932)を新訳版でお届けします。

『Xの悲劇』はニューヨークの交通機関で起こる連続殺人を扱った本格ミステリで、そのうち最も有名なのは第一の事件、市街を走る路面電車での毒殺事件でしょう。「ニコチン毒が塗られた針が何十本も刺さったコルク球」という奇妙な凶器のインパクトに加え、満員の車内に乗っていた人すべてが容疑者という難問を突きつけられた捜査陣は、悩んだ末にドルリー・レーンの頭脳を頼ることとなります。

本作で颯爽と登場したドルリー・レーン氏は御年60歳。シェイクスピア俳優として並びなき名声を得ながら、耳が聞こえなくなったために舞台を引退し、ハドソン川のほとりに〈ハムレット荘〉と名づけた大きな屋敷を建て、そこでかつての舞台仲間を従え暮らしています。新聞記事だけを手がかりに、ある事件の真相を推理したことで、名探偵として警察に認識されたのでした。

警察の要請を快諾した名探偵ドルリー・レーンは如何にして真犯人Xを推理し、断定するのか……? 世評も高い名作中の名作を、どうぞお楽しみください。

新訳版に際しての解説は書評家・杉江松恋氏が担当。〈レーン四部作〉が当初はバーナビー・ロスという別名義で発表された事情、『Xの悲劇』『ギリシャ棺の謎』『Yの悲劇』『エジプト十字架の謎』という「1932年のエラリー・クイーン」が発表した傑作長編4作が後世に及ぼした影響などについて分析しています。こちらも必読です。

なお、創元推理文庫ではこのあと〈国名シリーズ〉〈レーン四部作〉の新訳版をともに引きつづき刊行していく予定です。順番などについては随時お知らせいたしますので、楽しみにお待ちください。