ウサギ穴に落ちたり、鏡をくぐり抜けたり、魔法の衣装ダンスに迷いこんだり、竜巻にさらわれたりして異世界で冒険をしたのち、現実世界に戻ってきたきたものの、現実に適応できない子供たち。そんな子供たちに救いの手をさしのべるのが“エリノア・ウェストの迷える青少年のための学校”だ。

 海溝国に行ったコーラと、沈んだ世界ベレーリカに行ったナディア、どちらも水に関係した世界から心ならずも現実世界に帰ってきてしまった二人が学校の庭を歩いていたとき、空からひとりの少女が出現し、盛大な水しぶきをあげて池に落ちた。
 ケーキのアイシングかクリームでできているようなドレスを着た(そしてこれは水に溶けて消えてしまった)少女は、かつてこの学校にいたオオニシ・スミの娘、リニと名乗った。だが、スミはこの学校で殺されたはず。娘がいるわけがない……。それを聞いたリニは、早く母親を取りもどさないと自分という存在が消えてしまうと訴えた。
 そこでスミの友だちだったケイドとクリストファーは、コーラ、ナディアと一緒にスミを取りもどすべく死者の世界に旅立つことに……。

 ファンタジーの醍醐味を凝縮した、ヒューゴー、ネビュラ、ローカス3賞受賞シリーズ完結。


トランクの中に行った双子 (創元推理文庫)

 ジャクリーンとジリアンは、弁護士のチェスターとその妻セリーナの間に生まれた双子の姉妹。ジャクリーンは女の子が欲しかった母親の希望どおりの可愛い少女に、ジリアンは男の子が欲しかった父親の期待を背負い活発な少女に育てられた。だが実のところ、どちらも両親から押しつけられた役割にうんざりしていたのだ。
 そんなある日、双子は空き部屋に置かれたトランクの中に、下へ下へと曲がりくねって延びる木の階段を発見する。さっき見たときには何の変哲もない衣装の詰まったトランクだったはず……。あり得ない光景を目にした双子は、冒険心に突き動かされて階段を下った。長く続く階段の最後の一段を下りると、そこには円形の小部屋と扉が……。扉を開けたふたりが見たのは、巨大な赤い月に照らされ、灌木の花が咲く荒野が広がる、奇怪な世界だった。

 ヒューゴー、ネビュラ、ローカスの三賞受賞の『不思議の国の少女たち』に続くシリーズ第二弾。


〈エリノア・ウェストの迷える青少年のための学校〉、そこはとても奇妙な学校だった。入学してくるのは、妖精界やお菓子の国へ行って戻ってきた、“不思議の国のアリス”のような、“オズの魔法使いのドロシー”や“ナルニア国物語のペベンシーきょうだい”のような少年少女ばかり。そのなかでも戻ってはきたものの、もう一度彼らの“不思議の国”に帰りたいと切望している子供たちばかりなのだ。ここは、そんな少年少女が現実と折り合っていく術を教える学校だった。

 死者の殿堂に行ってきた少女ナンシーも、そんなひとりだった。両親のもとに帰ってはきたが、彼女の心はいまだ死者の王と女王のもとにある。だが、両親はそんな彼女の気持ちを理解してくれず、見当違いの気遣いやはげましで彼女の心を傷つけていたのだ。

 彼女を救えるのはエリノアの学校だけ。

 ところが死者の世界に行ってきたナンシーの存在に触発されたかのように、不気味な事件が学校を襲うように……。

“不思議の国のアリスたち”のその後を描いた、ヒューゴー、ネビュラ、ローカス賞受賞のファンタジー三部作開幕。

第3巻『砂糖の空から落ちてきた少女(仮)』2019年3月刊行予定!