『開化鐵道探偵』で、「このミステリーがすごい!」をはじめとした2017年末の各誌ミステリランキングにトップ10ランクインし、18年に『阪堺電車177号の追憶』で第6回大阪ほんま本大賞を受賞などで、注目を集めている山本巧次さん。

今、乗りに乗っている気鋭のミステリ作家の最新作は、『開化鐵道探偵』シリーズの第2弾です! 明治時代ならではの謎や真相、キャラを描いた時代ミステリであり、黎明期の鉄道を舞台にした鉄道ミステリでもある、唯一無二の面白さは本書でも健在。


今回の舞台は、高崎や大宮を走る日本鉄道。東北本線や高崎線などの原型になった日本初の私鉄であり、華族有志が資金を出して立ち上げた路線です。そこを舞台に、脱線した貨車から江戸幕府の隠し金(徳川埋蔵金)と疑われた千両箱が発見されたことで、爆弾騒ぎや殺人が起こります。

本書には、日本鉄道を良く思わず、かつ千両箱を狙う勢力が出てきます。明治政府の息がかかった警察・明治維新で没落してしまった士族・「秩父事件」などを起こした自由民権運動家の過激派などが、三つ巴の争いを繰り広げます。
彼らが千両箱を狙う背景には、明治初期&鉄道黎明期ならではの特徴があり、時代×鉄道ミステリとしての醍醐味が味わえます。

もちろん、本格ミステリの面白さも健在。王道の天才肌ホームズ&常識人ワトソンタイプの、草壁&小野寺コンビの捜査の過程は、読み応えがあり。加えて、本書では行動的な小野寺の妻・綾子も登場し、活き活きとした掛け合いも楽しめます。

手掛かりを丹念に拾い集め推理した結果、草壁が辿り着いた事件の真相は? ほろ苦さがありつつ、前を向いて使命を果たそうとする人々の希望も描いた結末を、どうぞご堪能ください!

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明治18年。6年前に滋賀・逢坂山トンネルの事件を解決した元八丁堀同心の草壁賢吾は、再び井上勝鉄道局長に呼び出された。日本鉄道の貨車が開業間もない大宮駅で、何者かの作為によって脱線、積荷からあるはずのない千両箱が発見された事件について調査してほしいという。警察は千両箱を、江戸幕府の元要人にして高崎に隠棲後、官軍に処刑された小栗上野介の隠し金と見ているらしい。
事件の鍵は荷積みの行われた高崎にありと、草壁と小野寺乙松技手が同地に向かうと、乗っていた列車が爆弾事件に巻き込まれてしまう。更に、小栗の元従者が行方不明になっていることが判明。千両箱を狙う自由民権運動家や没落士族が不穏な動きを見せる中、ついに殺人事件が! 時代×鉄道ミステリ、待望のシリーズ第2弾。