60分戦争で文明が荒廃した遙かな未来。世界は都市間自然淘汰主義に則り、移動しながら食ったり食われたりを繰り返す都市と、それに反撥する反移動都市同盟に分かれて争っていた。そんな奇怪な世界で、移動都市ロンドンに住む孤児の少年トムは、地上から来た顔に傷を持つ謎の少女ヘスターに出会う……。

 2001年にイギリスで刊行されるや大評判になり、英米で数々の賞を受賞、2006年に日本でも翻訳刊行され、星雲賞を受賞した伝説的名作『移動都市』が、なんとピーター・ジャクソン率いる『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』の製作スタッフの手で映画化されました。
『移動都市/モータル・エンジン』は2019年3月から日本で公開!!
 あの独特の世界がスクリーンいっぱいに広がります! 是非映画館でご覧下さい。

 そして、たいへんお待たせしました、ついにシリーズ完結編『廃墟都市の復活』が2018年11月に刊行。
 4巻目とはいえ、英国ではガーディアン賞を受賞したほどの作品、単なる完結編ではありません。これまでの3冊を凌駕する素晴らしい物語なのです。
 3巻目『氷上都市の秘宝』刊行から8年。どんなストーリーをお忘れの方も多いと思います。ここで既刊のおさらいと、完結編『廃墟都市の復活』のあらすじを一挙にご紹介します。


『移動都市』

 トムは移動都市ロンドンに住む、ギルド見習いの孤児。久々にロンドンが獲物を追って疾走中だというのに,博物館で陳列品のほこり払いだ。我慢できずに仕事を放りだし,けんか騒ぎまでおこした罰に,最下層での作業に追いやられてしまう。そこで出会ったあこがれの史学ギルド長は,親しく声をかけてくれたばかりか,捕獲した町の解体作業の監視に同行させてくれた。天にものぼる心地のトム。だが、ギルド長の命を狙う謎の少女ヘスターを助けたことで、彼の運命は一変する。
 大きな都市が小さな都市をむさぼり,大都市同士が共食いする奇怪な世界を舞台に,たくましく生きるトムとヘスターの冒険を描いた,傑作シリーズ第1弾。


『略奪都市の黄金』

 古代兵器の爆発でロンドンが炎上して2年あまり、元ロンドンの史学士見習いのトムは、ヘスターと共に飛行船を飛ばしていた。だが、戦闘飛行船に攻撃され不時着した北の氷原で、移動都市アンカレジに拾われたことから、ふたりの運命は急転する。アンカレジを支配する美少女とトムの仲に嫉妬し、ひとり飛び立ったヘスターを待ち受ける罠。残されたトムにつきまとう、謎の少年。
 最終戦争で文明が荒廃した遙かな未来。都市間淘汰主義に則り、移動しながら食ったり食われたりを繰り返す都市と、それに反発する反移動都市同盟が争う奇怪な世界を舞台に逞しく生きる、トムとヘスターの冒険第2弾。星雲賞受賞の『移動都市』続編。


『氷上都市の秘宝』

 レン・ナッツワーシー15歳、〈死の大陸〉の片すみに眠る、かつての氷上都市アンカレッジに住んでいる。平和な日常に物足りなさを感じていた彼女の心の隙につけこんだのが、盗賊〈ロストボーイ〉。狙いはアンカレッジの図書館にある1冊の本だ。口車に乗りこっそり持ち出した挙げ句、彼らの本拠地に連れていかれるはめに。さらに途中海賊狩りにあい水上都市ブライトンで囚われの身になってしまう。そこにいたのは、昔父母を裏切ったペニーロイヤルだった。一方トムとヘスターは、愛娘を救わんと必死で後を追っていた。
最終戦争後の遙かな未来、移動都市が互いを食い合う奇怪な世界を描いた星雲賞受賞作『移動都市』第3弾。


『廃墟都市の復活』

 クラウド9が墜落した夜、ヘスターは砂漠に呑まれて消えた。以来抜け殻のようになってしまったトムだったが、娘レンと一緒に飛行商人として訪れた競売所で見かけた一人の女性が彼の魂をゆさぶり起こした。それは忘れもしない、古代兵器の暴走で廃墟と化した故郷ロンドンの知り合いだったのだ。慌てて声をかけたが、相手は人違いだととりあってくれない。間違いないはずなのに何故? ロンドンの廃墟に何かが隠されていると確信したトムは、レンを伴い、若き軍人ヴォルフと共にロンドンを目指す。見捨てられた地ロンドンで彼らを待つものは?

 一方、ヘスターはストーカーのシュライクに助けられ、今更トムやレンのもとに戻ることもできず、賞金稼ぎとして暮らしていた。だが娘レンと親しかった青年セオを偶然助けたことから、忘れたはずの過去が彼女につきまといはじめる。セオはストーカー・ファン亡き後、移動都市との和平を進めようとする〈グリーンストーム〉の内紛と陰謀に巻きこまれ、〈グリーンストーム〉の現将軍夫人と共に囚われの身となっていたが、救ってくれたヘスターと行動を共にすることになる。ヘスターとセオは再びトムとレンに会うことができるのか? 
 ガーディアン賞受賞、〈移動都市〉四部作ついに完結。