第27回鮎川哲也賞選考会にて、『屍人荘の殺人』と対極的に話題となった作品が、本作『恋牡丹』です。残念ながら受賞とはなりませんでしたが、心地よい人情話と、謎解きの融合した見事な書きっぷりから、一編を〈ミステリーズ!〉に掲載することに決めました。同心親子の目と四つの事件を通して、江戸末期を丁寧に描いた、新たな時代ミステリの誕生です。


 今回、刊行を記念して『恋牡丹』の第二話「願い笹」に直接繋がる短編を、著者の戸田さんより頂戴しました。ぜひ『恋牡丹』と併せてお楽しみください。