鬱々とした気分で高校時代をすごしてしまって、いまとても後悔していませんか?
 もてたい一心で、異性ばかりを意識して高校時代をごしてませんでしたか?
 部活ばかりで学校の行事に参加できなかったと、ふと思ったりしてませんか?
 そんなあなたに『空色メモリ』はいかが?

 自意識過剰な男子高校生、いまとなってはちょっと恥ずかしく、だけどキラキラした、まさに青春まっさかりの頃。
デブのブーちゃん、メガネのハカセ、そんなかっこよくはないけど、どこにでもいる“非モテ系男子”が主人公の青春小説、それが『空色メモリ』です。ちょっとミステリ風味でさわやかに楽しめますよ。
『階段途中のビッグ・ノイズ』ではバンド少年たちを、『ボーナス・トラック』では幽霊と主人公のユーモアある活躍を、『陽だまりの彼女』ではふんわりした恋愛模様を描いてきた越谷オサム会心の青春小説をお楽しみください。

 たったひとりで県立坂越高校文芸部を守る、ハカセこと河本博士に春が来た。なんと、ハカセ好みの可愛い新入生が入部してきたのだ。彼女の名前は、野村愛美さん。ブンガク少女らしからぬ彼女が、なぜ人気のない弱小文化部に入部を決めたのだろう? 不思議な雰囲気の彼女には、何か秘密がありそう。
 一方、ブーちゃんと呼ばれるおれ・桶井陸。寒くても噴き出す汗に悩みつつも、知り合ったばかりだけど新入生・サキが気になる。そんなあれこれを、部員でもないのに文芸部に入り浸っているおれは、おもしろおかしく空色のUSBメモリ、その名も〈空色メモリ〉に綴り始めた。その〈空色メモリ〉が思わぬ騒動を巻き起こして――。

(2012年6月5日)


 

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