オカルト探偵の事件簿、第5集登場

全巻日本オリジナル編集で刊行してきた〈サイモン・アークの事件簿〉シリーズも、晴れて5冊目となりました。
今回収録されるのは1950年代から2000年代までのあいだに書かれた、全部で8編の中短編。そのうち、本邦初訳は6編となります。
シリーズの第1作「死者の村」(1巻収録)は同時に作家エドワード・D・ホックのデビュー作でもあり、最後の作品は著者の没後に発表されていますから、文字どおり作家生活の最初から最後まで、五十年以上にわたって書きつづけられたことになります。

その間作品世界の中でもさまざまな変遷があり、例えば本書に収められている「呪われた裸女」では、アークと記述者の「わたし」はなんと探偵事務所を構えており、そこに持ちこまれた依頼を調査することになります。
事件の舞台が世界各国にまたがるのも特徴で、本書の中では「海から戻ってきたミイラ」がブラジル、「怖がらせの鈴」がイギリスでのできごとです。
さまざまなオカルト案件をモチーフに不可能犯罪やエキゾチックな雰囲気で味つけをした本格ミステリ連作を、どうぞご堪能ください。
エドワード・D・ホック『サイモン・アークの事件簿V』は1月30日刊行予定です。

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風変わりな人々や事物が関わる奇妙な事件の起こるとき、謎の男サイモン・アークは現れる。あるときは超常現象研究者、またあるときは私立探偵として。警官が監視する中、焼死したはずの男が遂げた不可能犯罪、ブラジルの海岸で見つかったミイラのように防腐処理された死体の謎、現代ニューヨークに住まう魔女が生み出した回転ドアの密室……暗黒の事象と犯罪が交差する怪事件を、オカルト探偵が明晰な推理力で解いていく8編を収録した第五短編集。

(2014年1月8日)

 

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