ここだけのあとがき
2007.09.05
滝田務雄『田舎の刑事の趣味とお仕事』[2007年9月]
シリーズ化されて単行本に
主人公の黒川の受難も話が進むうちに、
死なない程度に激しくなってきました。
07年8月刊『田舎の刑事の趣味とお仕事』
滝田務雄 michio TAKITA
さあ『田舎の刑事の趣味とお仕事』という話を書いてしまった滝田務雄です。大変なことになってしまいました。ついに田舎の警察署の面々の本が出てしまいました。
最初は単純に人が死なない推理小説を書こうと思って書きはじめたこの話なのですが、書き進めているうちに加速度的に何でもありの世界になってまいりました。
主人公の黒川の受難も話が進むうちに、死なない程度に激しくなってきました。自分で書いておいてなんですが、一応作中では名探偵で主役のはずなのに、扱いがあんまりです。体と心は大丈夫なのか、黒川鈴木!?
登場人物が一人歩きしている、と言えば聞こえは良いのですが、はっきり言って暴走しています。『田舎の刑事』の登場人物は、どいつもこいつも西部の原野の暴れ馬です。とんだクレイジーホースたちです。
作者はこの暴れ馬を華麗に乗りこなしていると言いたいのですが、実際は馬が走り出した早々に落馬しています。それでも手綱に必死にしがみつき、書きながら地面にガリガリと引きずられている状態です。もちろん勇ましく「ハイヤー」とか「どうどう」とか言う余裕なんてありません。口から出る言葉は「たすけてえ」です。すでに乗り手ではなく刑罰を受けている馬泥棒状態です。もう全身アザと傷だらけです。
ところがそうやって無我夢中で手綱にしがみついていると、いつの間にか目的地についているんですな。なんとも不思議なことに、作者は引きずるのに大した事故も起こさない。
ここで油断して「なるほど、暴れ馬だけど賢い馬なのかなあ」などと思っていると、まだ私が乗っていないのに、次の町に向かって馬が暴走しているわけです。しかも気がつくと馬が増えています。馬が増えたから引きずられる勢いも強いわけでして。わたしゃ満身創痍です。西か東か南か北か、どこへ行くのか暴れ馬。でも、不肖滝田務雄、とりあえず手綱だけは離すわけにはまいりません。
そこの物好きな紳士淑女の皆様、この暴れ馬を本屋で見かけたら手でも振って人参の一本でもくれてあげてください。作者が喜びます。
■ 滝田務雄(たきた・みちお)
1973年福島県生まれ。日本大学芸術学部卒。2006年、短編「田舎の刑事の趣味とお仕事」で第3回ミステリーズ!新人賞を受賞してデビューする。ユーモラスな作風を武器とし、現在《田舎の刑事》シリーズ第2短編集を着々と執筆中。
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