第19回鮎川哲也賞を『午前零時のサンドリヨン』で颯爽とデビュー。主人公のポチこと須川くんの熱い(?)恋心と、酉乃初の鮮やかなマジックさばきと謎解きに、ミステリファンに加えマジックファンからの支持を集めました。あれから数日後の出来事が、本書『ロートケプシェン、こっちにおいで』になります。
『サンドリヨン』のラストでめでたくハッピーエンドになったはずじゃなかったかって、そうなんです。須川くん、せっかくの機会に大事なことを忘れてしまって、お正月早々に悶々とした日々を送ります。「おいおい、つめが甘いぞ須川くん」、とつっこみを入れていただきながらお読みいただければ幸いです。
もちろん、酉乃のマジックも健在。『放課後探偵団』でも先行紹介しました、チロルチョコを使ったマジック「チンク・ア・チンク」をはじめ随所に登場していきます。また、イケメンマジシャンも初登場しますので、須川くん大ピンチ?
ちなみに、タイトルにあるロートケプシェンとは、ドイツ語で「赤ずきん」のこと。本書内の重要な事件にかかわるキーワードになっています。
とても愛らしい作品であるとともに、非常に「現代的」な問題にも着手した、著者の最新刊をどうぞよろしくお願いいたします。
(2011年11月7日)
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