昨年『私の職場はラスベガス』で日本の読者の前にお目見えした行動派ヒロイン、ラッキー・オトゥールが帰ってきました。
ラッキーはラスベガスの一等地にある巨大カジノホテル〈バビロン〉の顧客関連係主任。ひらたく言うと、ホテルの内外で起こるありとあらゆるトラブルの処理を一手に引き受ける部署のリーダーです。世界一の歓楽街だけあって、持ちこまれるトラブルはじつに多種多彩。
なにしろ今回、シリーズ第2弾となる『規格外ホテル』では、ラッキーはのっけから街路を占拠するミツバチの大群と格闘するはめになります。なぜ彼女がって? ホテルでひらかれる世界昆虫学者協会の会合のため大量の蜂を運んできたトラックが横転し、逃げ出してしまったのが原因ですから、これはもうはっきりと彼女が解決しなければならない案件なわけです。
昆虫学者協会の会長の力も借りて、なんとかハチを撃退するめどがついても、ラッキーに休んでいる余裕はありません。翌朝飛びこんできたのは、悪名高いオッズ屋(※多くは違法な賭けを取り仕切る仕事)の女性ナンバーズがサメの水槽に投げ入れられるという豪快な方法で殺され、その第一容疑者となっているのが友人の私立探偵ジェレミーであるというニュースでした。ジェレミーは事件当夜、〈バビロン〉で被害者と一緒になり、口論しているところがばっちりビデオに映っているのです。
ホテルのため、友人のため、ラッキーはひと肌脱ぐことを決意するのですが、調べはじめてすぐ、被害者に関する意外な事実が明らかになります。そうしているうちにもホテル内ではおなじみの(?)全裸男が現れたり、豪快な母のモナがとんでもないできごとを企んでいたり、さらには恋人であるテディとのあいだがぎくしゃくしたりと、息つくひまもなくもめごとやトラブルが襲来します。
はたしてラッキーは、持ち前の行動力と頭脳で、今回も無事すべての問題に決着をつけることができるのでしょうか? てんやわんやの顛末をお楽しみください。
デボラ・クーンツ『規格外ホテル』は6月12日発売です。
(2014年6月5日)
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