人外。人間より優れた能力をもつ獣たちのことです。
人外たちは強く、賢く、長生きで、さまざまな言葉、さまざまな力を操ります。姿を変えたり、影に溶けこんでしまうものもめずらしくはありません。
わたしたちの第五合衆大陸には、星の数ほどの人外がいます。
そして、それぞれの種を束ねる特別強力な存在人外王も、銀河系とおなじ数ほど発見さ
れています。
人間に友好的な王もいますが、ほとんどは人間を避け、あるいは嫌っていました。なかでも、人間を滅ぼすかもしれないほど危険な人外王は、六体。そのことから、第五系人はいつしか、大陸を六つの地域にわけてよぶようになりました。
東域(イースト)の、月雷王(げつらいおう)。
西域(ウェスト)の、走訃王(そうふおう)。
南域(サウス)の、番狼王(ばんろうおう)。
北域(ノース)の、氷山王(ひょうざんおう)。
空域(ヘヴン)の、隕星王(いんせいおう)。
地下域(ヘル)の、地動王(ちどうおう)。
六地域六体六災の人外王を駆除すること。それが、わたしたち第五系人帝国の存在理由なのです。そしてその偉業をなした英雄は、まだ、いないのでした。(「帝国のなりたち」『帝国議会認定・初等教育書』より抜粋)
○最新刊『騎士団長アルスルと翼の王』(2023年10月刊)
人間を滅ぼすほど危険な人外、六災の王討伐をかかげる鍵の騎士団。率いるのはかつてレディ・がっかりと呼ばれていた前皇帝の娘アルスルだ。新皇帝クレーティガス二世の要請を受けた騎士団は、六災の王の一体である隕星王の眷属、ワシ人外との戦いで疲弊した城郭都市アンゲロスの救援にむかう。
巨大な気球を連ねて空に浮かぶ空中都市アンゲロスを治めるアビシニアン公爵ヴィクトリアは肌の色や血筋で人を判断しない公正な人物で、領民からも慕われており、アルスルは彼女に共感し力になりたいと思う。
アンゲロスを動かしているのはアビシニアン家とシクリッド社だった。シクリッド社の支社長がメルティングカラーだったため、アンゲロスでは多様な人種にルーツをもつメルティングカラーが純粋な黒色人種である第五系人と同等な扱いを受けていた。
一方、アルスルの護衛官となったルカ(彼もシクリッド社の傭兵でメルティングカラーだ)は、アルスルへの恋心を抱きつつも、身分のちがいから想いを告げられずにいた。ところがアンゲロス公爵と対面した晩、ルカはとても奇妙な夢を見る。劇場のような空間で、若くも年老いてもいない、男でも女でもない不思議な双子に「演じろ」「示せ」といわれるのだ……。何をしろというのか?
そうこうするうちに隕星王の眷属であるサマエール率いるワシ人外たちの襲撃が始まる。アルスル率いる鍵の騎士団はワシ人外からアンゲロスを護ることができるのか?
互いを思いながらすれ違うアルスルとルカの心は?
ねこ助先生による挿絵も増えて、もふ度アップ! 変わり者の少女の恋と成長と戦いを描く好評『皇女アルスルと角の王』 続編。
巨大な気球を連ねて空に浮かぶ空中都市アンゲロスを治めるアビシニアン公爵ヴィクトリアは肌の色や血筋で人を判断しない公正な人物で、領民からも慕われており、アルスルは彼女に共感し力になりたいと思う。
アンゲロスを動かしているのはアビシニアン家とシクリッド社だった。シクリッド社の支社長がメルティングカラーだったため、アンゲロスでは多様な人種にルーツをもつメルティングカラーが純粋な黒色人種である第五系人と同等な扱いを受けていた。
一方、アルスルの護衛官となったルカ(彼もシクリッド社の傭兵でメルティングカラーだ)は、アルスルへの恋心を抱きつつも、身分のちがいから想いを告げられずにいた。ところがアンゲロス公爵と対面した晩、ルカはとても奇妙な夢を見る。劇場のような空間で、若くも年老いてもいない、男でも女でもない不思議な双子に「演じろ」「示せ」といわれるのだ……。何をしろというのか?
そうこうするうちに隕星王の眷属であるサマエール率いるワシ人外たちの襲撃が始まる。アルスル率いる鍵の騎士団はワシ人外からアンゲロスを護ることができるのか?
互いを思いながらすれ違うアルスルとルカの心は?
ねこ助先生による挿絵も増えて、もふ度アップ! 変わり者の少女の恋と成長と戦いを描く好評『皇女アルスルと角の王』 続編。
○『皇女アルスルと角の王』(2022年6月刊)
第五系人帝国の皇帝、ウーゼル=レッドコメット・ブラックケルピイの末娘、アルスル=カリバーンは、上の姉エレインのように恋に生きるほどの情熱も、下の姉ヴィヴィアンのように芸術に身を捧げるほどの才能もなく、なにをやってもうまくいかず、いつも父をはじめ皆をがっかりさせてきた。ついた綽名が〈レディ・がっかり〉。母親であるグニエプルは夫しか目に入っておらず、夫が認めない娘に対しては無関心だ。
そんなアルスルだったが、なんとか父親に認められ、母親に愛されたいと思っていたのだ……。だが、ある日舞踏会で父が殺害された。偶然にも直後に現場に足を踏み入れたアルスルが皇帝殺しの容疑者にされてしまう。無実の主張も空しく首都の裁判で死刑を宣告されたが、第五系人帝国の貴族は首都だけでなく、一族の領地でも裁判を受けなければならない。
ブラックケルピイ家の所領である城郭都市ダーヴィーズにそびえる、通称鍵の城。その城主にして、ブラックケルピイ家の陰の采配者とよばれるリサシーブの裁判を受けることになったアルスルは、ダーウィーズに護送されるが……。
ブラックケルピイ家はイヌ人外を操るイヌ使い部族。人間よりも大きなケルピー犬を使って狩り(ハンティング)を行います。第五系人帝国には他にもテリア犬を使うテリア家、シェパード犬を使うシェパァド家などのイヌ使い部族のほか、ラグドオル家、アビシニアン家などのネコ使い部族も存在、おまけにイヌ使い部族とネコ使い部族は仲が悪いというおいしい設定です。
第3回創元ファンタジイ新人賞で佳作になった『忘却城』でデビューを飾った著者が(そういえば、『忘却城』シリーズにも巨大なウサギが登場しました)、もふへの愛の全てを注いだ独自の世界観が秀逸な異世界ファンタジイ!
カバーと挿絵は動物と少女のイラストで大人気のねこ助先生。
ねこ助先生の描く人外と少女もぜひお見逃しなく!
犬好き、猫好き、もふ好きの皆様必読です。